2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on the driving force of salt weathering and salt solution transfer in porous material
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20K22445
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高取 伸光 京都大学, 工学研究科, 助教 (70880459)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 非平衡熱力学 / 塩類風化 / 毛細管現象 / 凝灰岩 / 透水性 / 塩溶液 / 電気二重層 / 駆動力 |
Outline of Annual Research Achievements |
建造物や屋外文化財の多くは,その内部に多数の空隙を有する多孔質材料であり,これらの材料の主要な劣化要因として塩類風化は広く知られている.塩類風化を抑制するためには,多孔質材料中の熱や水分,塩の移動に加え,水分や塩が材料骨格部に加える応力を定量的に把握することが重要である.しかし,現状移動問題と破壊問題は独立した学問として成立しており,連立問題として定量的に把握することが出来ない.本研究ではこの問題を熱力学に基づき統合することを最終的な目標とし,研究の第一段階として多孔質材料中に存在する塩溶液移動の駆動力の測定方法を確立することを目的とした. これまでの研究では,1)変水位透水実験により凝灰岩の飽和時におけるNaCl溶液の透塩水係数を測定し,この結果よりハーゲンポアズイユ則に基づき塩溶液の密度および粘性係数を考慮することで透塩水係数を十分に再現出来る塩濃度領域と,できない領域が存在することを明らかにした.また,2)吸水実験により同様の凝灰岩の吸水過程におけるNaCl溶液の含塩水率を測定し,その移動性状が変水位透水実験の結果同様、純水よりも低塩濃度のNaCl溶液の方が移動速度が早くなるという結果を得た.3)多孔質材料中に存在する塩溶液の移動と破壊現象を非平衡熱力学に基づき分析する第一歩として,多孔質材料中における塩溶液内の圧力の分布構造について微視的,巨視的両方の観点から理論的な検討を行い,数値解析に応用する際の課題について整理した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で予定していた吸水実験、透水実験、数値解析のうち約3分の2が順調に進行しており、期待通りの研究成果が得られてきていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
1)これまで得られた凝灰岩中の透塩水係数および吸塩水実験の結果をもとに,数値解析によりこれらの結果を再現することで多孔質材料中における塩溶液移動の駆動力の同定し,塩を含むことによる多孔質材料中溶液の駆動力の変化について検討を行う. 2)デシケータ法により材料の平衡含塩水率関係を求め,この結果と1)で得られた結果との比較から塩溶液移動の駆動力の測定方法について検討を行う.
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Research Products
(5 results)