2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of a dynamic settlement planning method adapted to evacuees needs and local characteristics
Project/Area Number |
20K22448
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
益子 智之 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (00875362)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 居住支援システム / 暫定的居住環境 / 応急建築物 / イタリア |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、「2009年アブルッツォ地震と2016年イタリア中部地震後の居住支援システムの全体像の解明」、「暫定的居住環境評価のための多種多様な応急建築物の計画・実装・管理過程の分析」を行うことを目的として、調査・研究を行った。 第一に、2009年アブルッツォ地震後の居住支援システムの全体像を把握するために、既往研究の整理と市民防災局の公開報告書を主とした文献調査を実施した。その結果、1)テント・宿泊施設、2)免震低層集合住宅・仮設住宅モジュール、の2段階居住支援システムの全体像を明らかにした。次に、2016年イタリア中部地震後のシステムに関しても同様の調査を行った結果、1)テント・宿泊施設、2)みなし仮設住宅・緊急住宅ソリューション・緊急農村仮設住宅モジュール・住宅用コンテナ・宿泊施設、の2段階居住支援システムが整備されていた。以上により、3つの大規模震災後の居住支援システムは、いずれも2段階で構成されており、地域特性に応じた異なる住宅種別が供給されていることが明らかになった。 第二に、多種多様な応急建築物の計画・実装・管理過程の分析のために、3つの震災を対象に居住用途の応急建築物の供給戸数、立地、整備面積、整備過程などの基礎データ整理を行った。前研究課題において資料収集済みであった2009年と2012年の対象都市では、一次資料の整理を主な作業とし、2016年地震の対象都市であるアマトリーチェ市とノルチャ市については、国と州の市民防災局の公開資料を収集し、データ整理を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は、2021年2月・3月に予定していた現地調査を実施できず、居住支援システムの定量的評価のために、国と州の市民防災局からのデータ入手を達成できていない。また、同様の理由により、2020年度までに実施予定であった、暫定的居住環境評価のための各種応急建築物の実施図面を入手できていない。 現地調査以外の方法で市民防災局より基礎データの提供を試みたものの、イタリアでは、市民防災局が、新型コロナウィルス感染症への対応を指揮しているため、調査協力を得られない状況であった。このような状況は、2021年度も継続することが想定されることから、研究対象とする大規模地震災害や対象都市の数を減らし、研究計画を大幅に変更することが求められる。 以上により、本研究課題において、2020年度中に実施予定であった3つの地震災害後の居住支援システムの定量的評価ならびに暫定的居住環境評価のための一次資料の収集を行えていないことから、2020年度の進捗状況は、やや遅れていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の進捗状況を踏まえ、今後の研究では、これまでの研究成果から、避難者ニーズと地域特性に適した居住支援システムの実装と暫定的居住環境の構築が、行われたと想定される2016年地震災害の対象都市ノルチャ市に焦点を当て、システムと居住環境評価を優先的に実施する。さらに、最終的に災害間の比較考察を行うために、2012年地震災害の対象都市であるミランドラ市を重点的に取り扱うこととする。
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Causes of Carryover |
2021年度は、前年度に実施できなかったイタリアでの現地調査を予定している。
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Research Products
(9 results)