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2020 Fiscal Year Research-status Report

極微量ヘテロ元素種を定性・定量分析可能な超高温・高感度昇温脱離分析装置の開発

Research Project

Project/Area Number 20K22459
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

吉井 丈晴  東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (70882489)

Project Period (FY) 2020-09-11 – 2022-03-31
Keywords昇温脱離法 / ヘテロ元素 / 窒素含有炭素材料
Outline of Annual Research Achievements

昇温脱離法(TPD)は様々な材料に適用可能な分析ツールであり,試料の化学的性質を明らかにすることができる.従来のTPD法ではその最高測定温度が1200 ℃程度であったが,誘導加熱炉を用いて1800 ℃まで測定可能なTPD装置が開発され,これにより炭素材料のエッジサイトの化学構造解明が大きく進展した.本研究では高温TPD測定の可能性をさらに引き出すことに挑戦し,超高温・高感度なTPD装置の開発を通して,様々な材料中の微量ヘテロ元素種の定性・定量同時分析を実現することを目的とする.
本年度は,新規真空高温TPD装置の立ち上げを行い,不純物を含む炭素材料についてTPDによる分析を検討した.
TPD装置の高温化においては試料台の選定が必要となる.試料台は誘導加熱によって2000 ℃程度まで加熱可能であり,かつ高温真空下で昇華・分解せず,測定試料との反応性の乏しい材料でなければならない.そこで,グラファイトやタングステン,タンタルおよびそれらの炭化物について誘導加熱時の高温耐久性を検討し,この結果炭素・酸化物試料それぞれに適した試料台材料の選定指針が得られた.これをベースに新規TPD装置の製作を行った.
製作した装置を用いて,窒素含有炭素材料について真空高温TPD測定を行い,窒素種脱離挙動の観測を試みた.試料の昇温に伴い,各種窒素含有ガスが段階的に脱離した.これより,窒素種の導入形態を見分けた定性・定量分析が可能であると示唆された.そこでまず,本法とCHN元素分析法と組み合わせることで定量信頼性を確認した.次に,脱離ガスの放出パターンとXPS測定の結果を突き合わせることで窒素種の特定を行い,本法により窒素種の定性分析が可能であることを見出した.さらに,微量の窒素種を含む炭素材料について測定を行い,本法が従来法よりも優れた定量精度を有し,高感度測定が可能であることを見出した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

本研究では昇温脱離(TPD)装置の開発および窒素含有炭素・ヘテロ元素含有無機材料の分析を行う.本年度はまず新規高温真空TPD装置の立ち上げを行い,その上でヘテロ元素種として窒素を含む炭素材料についてTPD分析を検討した.
真空TPD装置の立ち上げについては本年度の前半において順調に遂行され,誘導加熱を用いて高真空下で分析可能な装置の製作が完了した.この際,全定量型質量分析装置を用いることで高感度分析を可能とした.さらに,超高温分析に向けて重要となる試料台材料の選定を進め,炭素材料・酸化物材料それぞれの測定に適した試料台材料選定指針が得られた.
次に,窒素含有炭素材料について高温真空TPD測定を行った.試料から脱離した種々の窒素含有ガスを検出できた上,従来法であるCHN元素分析法,XPS測定と組み合わせて検討を進め,本法により各窒素種それぞれについて定量可能であることが分かった.さらに,従来法よりも高い精度で分析できることを見出した.すなわち,高温真空TPD法は炭素材料中窒素種を高感度に定性・定量可能な新しいバルク分析法であるといえる.以上のように,本年度の研究を通して,ヘテロ元素種の新しい分析法としての本法の発展可能性を十分に示すことができた.
当該年度において,本研究に関連した論文を1報報告したしたほか,4件の学会発表を行った.以上より,当該研究は現在まで当初の計画以上に進展しているといえる.

Strategy for Future Research Activity

本研究では,超高温・高感度なTPD装置の開発を通して,様々な材料中の微量ヘテロ元素種の定性・定量同時分析を実現することを目的とする.これまでの研究により,新規高温真空TPD装置の作製と窒素含有炭素材料の高温真空TPD測定に成功した.これをもとに,次年度は以下の2点について研究を推進する.
(1)ヘテロ元素含有炭素材料の分析
本年度の研究で,炭素材料中窒素種は真空加熱により段階的に脱離し,それらの脱離形態・脱離温度は窒素種の導入形態を反映することを見出した.ここで脱離挙動の観測結果から,強固に固定化された窒素種は2000 ℃を超えても脱離しないものと推察された.すなわち,窒素種の完全定量分析にはTPD装置のさらなる高温化が必要となる.また,測定中には窒素を含むガス以外も多量に脱離するため,測定精度向上には質量数が同じガス種の判別を正確に行うことが必要である.これらの課題解決を通して,真空高温TPD法を炭素材料中窒素種の新しい分析手法として確立することを目指す.さらに,本法は窒素以外の様々なヘテロ元素種に応用可能であると期待されるため,測定元素種の拡大を図る.
(2)酸化物試料測定への展開
上述の通り,これまで炭素材料の測定手法として本法の利用可能性を検討してきた.一方,酸化物材料についても不純物の高感度分析が求められており,本法はこれに資するものであると考えられる.酸化物試料の測定においては試料基材そのもののガス化が懸念される.トラップ機構の設置など装置改良を通して,測定可能試料範囲の拡大を図る.

  • Research Products

    (5 results)

All 2021 2020

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results)

  • [Journal Article] One-Step Fabrication of Homogeneous Ta3N5 Crystal Photoanodes Using TaF5 Evaporation Supply for Photoelectrochemical Water Splitting2021

    • Author(s)
      Matsui Yusaku、Yamada Tetsuya、Suzuki Sayaka、Yoshii Takeharu、Nishihara Hirotomo、Teshima Katsuya
    • Journal Title

      ACS Applied Energy Materials

      Volume: 4 Pages: 2690~2695

    • DOI

      10.1021/acsaem.0c03231

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] ポルフィリンの炭素化により合成される規則性多孔質炭素の比表面積向上と金属種拡張2021

    • Author(s)
      千田晃生, 高橋和馬, 金丸和也, 山本雅納, 吉井丈晴, 丸山純, 井上真隆, 谷文都, 西原洋知
    • Organizer
      炭素材料第117委員会第336回委員会
  • [Presentation] ポルフィリン類を前駆体とした規則性炭素構造体の調製2020

    • Author(s)
      千田晃生, 高橋和馬, 山本雅納, 吉井丈晴, 神谷和秀, 丸山純, 谷文都, 西原洋知
    • Organizer
      高分子・ハイブリッド材料研究センター 2020 PHyM シンポジウム
  • [Presentation] 電解液に接触した柔軟グラフェン多孔体の変形に伴う電荷移動2020

    • Author(s)
      山部咲知, 吉井丈晴, 野村啓太, 西原洋知
    • Organizer
      高分子・ハイブリッド材料研究センター 2020 PHyM シンポジウム
  • [Presentation] 有機金属錯体を前駆体とする規則性ポーラスカーボンの調製2020

    • Author(s)
      千田晃生, 高橋和馬, 山本雅納, 吉井丈晴, 神谷和秀, 丸山純, 谷文都, 西原洋知
    • Organizer
      第20回東北大学多元物質科学研究所研究発表会

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Published: 2021-12-27  

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