2020 Fiscal Year Research-status Report
X線吸収微細構造解析による溶融規則ー不規則変態合金の熱力学的過剰量の起源解明
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20K22464
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邉 学 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (50880283)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 蛍光XAFS / 電子状態 / 構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、規則ー不規則変態を生じる溶融金属の電子状態および構造状態解明のために、高輝度放射光施設SPring-8でBL0001にて蛍光XAFS実験を試みている。今回、測定対象とした規則ー不規則変態合金としてFe-Pd合金を選択した。今回、採用した蛍光XAFSのみでは、溶融金属は科学的活性が高いため、保持容器と反応して溶融金属を測定することができない。そこで新たにガスジェット浮遊を組み合わせた。これにより、測定試料を浮遊させた状態を保持できるため、高純度の溶融金属を保持することができ、溶融金属のXAFS測定が可能となった。しかし、今回、ガスジェット浮遊に不活性ガスとして使用したArガスがFeK端測定時にX線を吸収し、試料の解析に十分な蛍光X線を測定することができなかった。こちらの問題については、今後、窒素やヘリウムガスなどの別のガスを使用し、実験を再度試みる。また、Arガス雰囲気中でも、PdのK端の測定を行うことは可能であったため、こちらのデータについては、解析ソフトウェアATENAを使用して、電子状態および内部構造の解析を今後試みる。さらに、上記のXAFS測定と並行して電子状態の寄与を明らかにするため、静磁場印加電磁浮遊法を用いて、溶融Pd金属の放射率および熱伝導率測定を行い、成功した。新たに、フェルミエネルギーでの電子状態と熱拡散率の間には相関関係があることが分かり、電子状態を明らかにすることで、測定が難しい溶融金属の熱伝導率を予測することが可能であることを示唆している。これらの成果は既に論文投稿している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今回、溶融状態を測定するためガスジェット浮遊法を採用した。このガスジェット浮遊法には不活性ガスが必要であるが、今回Arガスを採用したところ、Arガスが蛍光X線を吸収してしまい、FeのK端の測定を行うことができなかった。今後は、窒素ガスなどの他の不活性ガスの使用を試みる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回、Arガスの蛍光X線吸収により、XAFS測定によるFeK端部の測定がうまくいっていない。その為、窒素などの他の不活性ガスを使用して再度XAFS測定を行う。また、今回、溶融Pdの電子状態解明の為、放射率および熱伝導率測定を行い成功している。これを、今回のXAFS測定の測定対象でもあるFe-Pd合金にも適応する。
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Causes of Carryover |
今回、SPring-8など外部施設での実験を想定しているが、コロナウイルスによって出張および国際会議への参加が制限されている為、支出が予定と異なっている。今後は、前述の通り、窒素などの他の不活性ガスを使用してXAFS実験を行う。また、XAFS実験以外に、溶融金属の構造解析の為、X線回折実験の検討を行う。
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Research Products
(1 results)