2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K22467
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
吉川 聡一 東京都立大学, 理学研究科, 助教 (80878322)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 担持金属触媒 / 金属酸化物クラスター / 協奏触媒作用 / 水素化 |
Outline of Annual Research Achievements |
触媒機能とその表面構造は密接に相関しており,触媒活性点の自在設計は触媒化学分野の根幹を担う課題である.本研究では,触媒担体に担持した金属粒子の表面に,異種金属元素からなる金属酸化物クラスターを修飾するボトムアップ型の合金触媒活性点の設計手法を確立する.特に,塩基触媒作用を示す金属酸化物クラスターを金属粒子表面に修飾した複合型材料に着目し,塩基触媒作用と担持金属種が有する酸化還元能が協奏的に機能する複合型活性点の創出と,その活性点構造の制御並びに機能開拓に取り組む.令和2年度は,担持金ナノ粒子触媒へのニオブ酸化物クラスターの修飾とその水素化触媒特性の評価を行った.その結果,アルミナ担持金ナノ粒子触媒にLindqvist型のニオブ酸化物クラスターを修飾すると,p-ニトロフェノールの水素化における転化率が飛躍的に向上することを見出した.金ナノ粒子表面の電子状態変化や,ニオブ酸化物クラスターの構造評価から,金ナノ粒子表面に金属酸化物クラスターが修飾されたことを確認した.ブランクとしてアルミナにニオブ酸化物クラスターを含浸担持させたもので反応を行うと転換率が低く,金ナノ粒子が触媒として働いていると考えられる.また,塩基として炭酸カリウムを加えるとアルミナ担持金ナノ粒子触媒で反応が進行したことから,金ナノ粒子と塩基の共存により高い転化率が得られたと考えられる.以上のように,金ナノ粒子の水素化触媒能とニオブ酸化物クラスターの塩基触媒能の協奏により駆動する触媒系の構築を達成した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では,担持金属ナノ粒子表面へのアニオン性金属酸化物クラスターの修飾により,金属ナノ粒子と塩基が協奏的に機能する触媒活性点の自在構築を目的とする.特に,構成要素であるナノ粒子のサイズ,形状,電子状態を制御することで,最終的な活性点構造を制御するボトムアップ型の触媒設計に取り組む.実績の欄に記載の通り,本年度は金ナノ粒子へのニオブ酸化物クラスターの修飾により,p-ニトロフェノールの水素化における転化率が飛躍的に向上することを見出した.一方で,担持金ナノ粒子のサイズ,形状,電子状態の制御や,修飾する金属酸化物クラスターの構成元素,種類については検討を行えていない.最終年度においては,これらの構成要素と活性点構造の相関を種々の分光計測により検討し,触媒活性との相関を調査する.以上より,概ね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本複合型材料の構成要素が最終的な活性点構造及びその触媒特性に及ぼす影響を検討する.担持金ナノ粒子のサイズ,形状,電子状態の制御や,金属酸化物クラスターの選択により,修飾される金属酸化物クラスターの密度,構造,電子状態を制御できると考えている.本年度の検討では,金ナノ粒子の担持には塩基析出法を用いた.金ナノ粒子の担持方法や還元前処理温度を変えることで得られる金ナノ粒子のサイズ,形状を制御する.また,アルミナ以外の担体を用いることで,担持金ナノ粒子の電子状態を制御できると考えている.また,用いる金属酸化物クラスターの構成元素,サイズ,負電荷が修飾密度およびその構造や電子状態に及ぼす影響を明らかにする.X線吸収分光を始めとする分光計測により得られた触媒の構造を評価し,触媒活性の向上や,本複合型材料の設計指針の一般化に関する知見を深めたいと考えている.
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