2021 Fiscal Year Annual Research Report
超音波照射による神経変性疾患蛋白質の特異的増幅の研究
Project/Area Number |
20K22484
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中島 吉太郎 大阪大学, 国際医工情報センター, 特任研究員(常勤) (20867337)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | アミロイド線維 / 超音波照射 / 超音波化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
アミロイド線維形成反応における超音波照射の効果を系統的に調査し、特に、生体内からのアミロイド線維核検出において超音波照射がどのような影響を及ぼすかについての議論を行った。実験には、独自に構築した超音波アミロイド線維形成誘導システムを使用し、透析アミロイドーシスの原因蛋白質であるβ2-ミクログロブリンのアミロイド線維形成反応を観察した。蛋白質モノマーの過飽和溶液を準備し、そこに生体内に存在する濃度と同程度の極微量のアミロイド線維核を添加し、超音波により増幅・検出する実験を行った。実験結果から、従来法である振とう法と比して、超音波照射法は100倍程度高い検出能を示すことが明らかとなった。このメカニズムにおいては、超音波照射により蛋白質溶液中に発生するキャビテーションバブルがアミロイド線維を特異的に分断することで従来法にはない増幅効果を示していたことが示唆された。現在、本研究で得られた知見を活かし、アミロイド線維を原因として発症する神経変性疾患の患者由来検体中の微量アミロイド線維の検出を試みている。この手法を確立することができれば、超音波照射法を神経変性疾患の早期診断法として応用することが期待される。また、本研究で構築した装置を透析アミロイドーシスの血清内発症因子の調査にも応用することができた。本研究で得られた成果は、2報の学術論文としてまとめ、一報は神経化学に関連する専門誌から公開され、もう一報は、プレプリントを公開し、投稿中である。
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