2021 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍免疫環境を非侵襲的にイメージングするナノ微粒子の開発
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20K22497
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三浦 理紗子 京都大学, 工学研究科, 助教 (40881694)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / 多糖 / 光音響イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
Cold Tumorに多く分布するM2型マクロファージ標的性造影剤の開発を目的に、マンノース及び近赤外色素を修飾したプルランの合成を進め、水溶液中で形成するナノ粒子の物性について評価を行ってきた。 まず、プルランを基盤として近赤外蛍光色素の修飾法を検討したところ、近赤外蛍光色素と結合するリンカーの構造に応じてその吸収波長域がシフトしたた。そのため、複数の低分子から最適なリンカーを選定し、近赤外光域に光吸収を示す目的高分子の合成に成功した。合成した高分子は、近赤外蛍光色素の疎水性相互作用を駆動力に水中で100 nm以下のナノ粒子を形成することが明らかとなり、水中で1週間以上安定な粒径を保持した。このナノ粒子は近赤外蛍光色素を有するため光音響へ応答性を示し、水溶液状態において光音響イメージングが可能であった。また、マウスマクロファージ細胞株であるRAW264.7細胞をIL-4と共培養することによりM2型へ分化させ、相互作用を評価した結果、マンノースの有無によって相互作用が向上した。この結果より、高分子へ修飾したマンノースがM2型マクロファージに発現するCD206のリガンドとして機能し、標的指向性が付与されたと考えられる。 以上の結果より、M2型マクロファージへの標的指向性を有し、光音響造影剤として機能するナノ粒子の開発に成功した。この造影剤は、M2型マクロファージが多く分布するCold Tumorへ集積すると考えられ、腫瘍免疫環境に応じた腫瘍イメージングを実現し得ると期待されるため、今後はin vivoでの検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的はCold Tumorに分布するM2型マクロファージを標的とするナノ粒子を開発し、Cold Tumorを選択的に造影することである。現在までに、合成法の確立、基礎的な物性評価が完了しており、おおむね順調に進展している。その一方で、M2型マクロファージのリガンドとしてマンノースを高分子へ修飾したものの、マンノースの有無によるマクロファージへの取り込みの差があまり大きくなかったため、リガンドの変更を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず、現在開発したナノ粒子の腫瘍集積性、Cold Tumorのin vivo 光音響イメージングについて検討を行う。具体的には、担癌マウスに対してナノ粒子を尾静脈投与し、経時的に蛍光イメージング及び光音響イメージングを行い、腫瘍の造影を行う。続いて腫瘍を摘出し、ナノ粒子の集積量を蛍光により評価する。さらに、腫瘍を複数担癌したマウスを用い、腫瘍免疫環境に応じた造影強度の違いが得られるか観察する。 同時に、M2型マクロファージへの標的性をさらに向上させるため、高マンノース型糖鎖をリガンドとしてプルランに修飾した高分子や、基盤多糖を変更した高分子の合成を行う。
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Causes of Carryover |
昨年度秋より、産前産後休暇及び育児休業取得により研究を中断したため、次年度使用額が生じた。4月より研究を再開したため、計画の通り試薬購入や学会参加へ使用する予定である。
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Research Products
(3 results)