2020 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of an Innovative Treatment for Fibrotic Soft Tissue - Minimally Invasive Reconstruction Using Ultrasound
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20K22502
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
八木 一平 東京都立大学, システムデザイン研究科, 助教 (30884150)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 超音波 / キャビテーション / 繊維化 / 治療デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、繊維化という未解決の医療課題に対して、超音波キャビテーションによる体外・低侵襲治療の新たな手法を用いて、軟部組織の柔軟性の改善を評価することである。 本年度は超音波発生装置を調達し、実験の基盤となる超音波発信・照射システムを構築した。加えて、超音波に由来するキャビテーション(微小気泡)の発生を映像により確認した後、コラーゲン素材をキャビテーション下に晒した結果、その前後で優位に変形していることを電子顕微鏡により確認した。この結果は、本研究の目的としている超音波によるキャビテーションの発生、およびキャビテーションによりコラーゲン材料に何らかの変化をもたらしている事を証明している。さらに、本研究予算により調達した引張試験器を使用し、コラーゲン素材の機械的強度を評価した結果、超音波への暴露時間に応じて、材料強度が優位に減少し、およそ30秒程度の処理により半減することを確認した。以上の結果は、本研究で構築した超音波発生システムにより、線維化治療の対象となるコラーゲン素材を柔軟にする効果を示した。上記の内容を、国内学会2件、解説記事1報を通じて報告した。 今後、より人体に近い複合組織、つまりコラーゲン以外の成分を含む対象に対して、超音波照射による柔軟化の効果を検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、本年度中に(1)超音波キャビテーションの制御技術の確立、2021年度に(2)コラーゲンの特性変化、および周辺組織の影響評価を行う予定であった。これに対して本年度は、(1)を達成し、(2)におけるコラーゲン素材を用いた実験を完了しており、本研究の目的である“超音波キャビテーションによるコラーゲン組織の柔軟化”の検証をおよそ達成した。従って、研究計画上の進捗・伸展については、概ね順調であると結論づける。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2021年度において、以下の2点を実施する予定である。 (1)超音波発生装置を平面型から収束型トランスデューサーに変更することで、治療範囲となる超音波の焦点を限定し、治療目的に適う装置構成を実現する。そのうえで、高速・微小撮像システムによりキャビテーション現象とコラーゲン材料との相互作用を可視化する。 (2)より人体に近い複合組織、つまりコラーゲン以外の成分を含む対象に対して、超音波照射による柔軟化の効果を検証する。
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Causes of Carryover |
来年度に収束超音波振動子などを調達する予定があるため、本年度予算の10%以下の範囲で来年度に繰り越すこととした。
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Research Products
(5 results)