2020 Fiscal Year Research-status Report
血管内皮前駆細胞を効率的に捕捉する内皮誘導足場表面の設計と開発
Project/Area Number |
20K22507
|
Research Institution | Gihu University of Medical Science |
Principal Investigator |
磯野 蒼 岐阜医療科学大学, 薬学部, 助教 (50880481)
|
Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
|
Keywords | 内皮化 / 細胞接着性ペプチド / セルインプリント / 細胞足場 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、血液中を循環する血管内皮前駆細胞の捕捉とその内皮細胞への分化・増殖、および、人工血管両端吻合部からの正常血管内皮細胞の遊走の両方に有利な細胞足場構築を目指す。内皮化を促進する細胞足場として、(1)内皮細胞接着足場の形態記憶(セルインプリント)表面、および(2)血管内皮前駆細胞および血管内皮細胞表面に発現するインテグリンα4β1の結合リガンドであるArg-Glu-Asp-Val(REDV)配列を含むペプチドによる修飾したセルインプリント表面を設計した。セルインプリント表面の基盤となる高分子ブラシは、これまでにglycidyl methacrylate(GMA)の表面開始原子移動ラジカル重合(SI-ATRP)によって調整しており、その側鎖エポキシ基の光架橋成分(polyethyleneglycol methacrylate (PEGMA)及び2,2'-azobis[2-methyl-N-(2-hydroxyethyl) propionamide])による修飾を検討中である。また光架橋性高分子ブラシと反応し、細胞足場の鋳型を構築するための血管内皮細胞修飾分子FMの合成をおこなった。鋳型となった細胞除去後の鋳型表面を細胞接着のための結合リガンドであるREDVペプチドにチオールおよびリンカーを導入したペプチドを固相合成で構築した。現在、基盤となる光架橋性高分子ブラシの合成およびFMの細胞への修飾条件を検討すべく、細胞の準備を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新設の学部であり、研究室の立ち上げに時間を要していることで、研究を進める時間が不足したことが原因のひとつである。また使用予定であるヒト伏在静脈内皮細胞(HSaVEC)が特殊な細胞株であり、培養条件等を整えるのに時間を要しているため、やや遅れていると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、セルインプリント表面の調製を実施し、セルインプリント表面のタンパク質吸着特性およびラット循環血を用いた血液適合性評価を行なう。さらに灌流培養条件下にける血管内皮前駆細胞の接着性および内皮形成評価をF-アクチンおよびVE-カドヘリンの蛍光染色画像等から評価する。高分子ブラシ層の厚さ、光架橋成分の導入量、およびペプチドの導入量等が細胞接着および増殖に及ぼす影響を検討し、ペプチド修飾セルインプリント表面を最適化する。
|
Causes of Carryover |
予定していた細胞実験を次年度に持ち越したため、それに必要な経費を繰り越した。
|