2020 Fiscal Year Research-status Report
不妊症診断支援システムへ向けた医療画像拡張手法の開発
Project/Area Number |
20K22513
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Research Institution | Maizuru National College of Technology |
Principal Investigator |
森 健太郎 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (90881128)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 医療画像 / データ拡張 / 女性不妊症 / 子宮蠕動運動 / ディープラーニング / マシンラーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
医療分野ではデータの一般公開が困難なため研究で使用できる十分な数のデータセットを集めることが難しいという課題がある.データ不足を補うためにデータ拡張と呼ばれる手法が存在するが,医療画像に特化したデータ拡張手法はいまだ開発されていない.本研究の目的は不妊症患者の子宮超音波画像に対する新しいデータ拡張手法を開発し,高精度で妊娠予測を行う診断支援システムを開発することである.当該年度はCineMRI画像を用いて,子宮運動の抽出手法の評価に取り組んだ. 本研究では,画像から妊娠予測に有効な特徴量を抽出し,抽出した特徴量を利用してデータ拡張を実現する.妊娠予測に有効な特徴量として,子宮の運動情報が有効であることを我々は発見した.超音波画像では,目視で子宮運動情報を確認することが容易ではなく,運動情報に対するラベル情報を付与することが困難である.そこで,目視でも比較的容易に子宮運動情報が確認できるCine MRI画像を用いて子宮運動の抽出手法を評価した.Cine MRI画像に対して,発生している運動を目視で確認し,発生運動情報を正解ラベルとして画像に付与した.この画像からオプティカルフローで運動速度情報を計算し,画素値に置き換えた速度画像の生成を行った.元画像および速度画像それぞれで学習を行ったCNNモデルを構築し,発生運動の予測精度を調査したところ,元画像で53%だった予測精度が,速度画像で69%まで向上していることを確認した.この結果より,妊娠予測に有効な特徴量の抽出方法として提案手法が有効であることが示された.この成果について国際学会での発表を予定している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本来であれば当該年度中に実施予定であった,人工特徴量データ生成法の開発にいまだ取り組むことができていない.これは,2年目に実施予定だった予測システムの評価を当該年度中に実施したためである.実際には研究スケジュールの順序を変更したのみであり,進捗状況としては大きな遅れは生じていない.次年度は予測システムについての変更は行わず,同一のシステムでデータ拡張手法の評価を実施していく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度中は研究スケジュールの順序を変更し,予測システムの評価を実施した.今後は,人工特徴量データ生成法の開発に取り組みながら,同一の予測モデルによる比較実験を繰り返し,効果的なデータ拡張手法の確立を目指す.具体的な推進方策としては,申請時の予定通り,人工知能を用いて実特徴量データを組み合わせた人工特徴量データの生成を行い,(i) 提案手法で拡張したデータセットで構築した予測システム,(ii)実データのみで構築した予測システム,(iii) GANによって拡張したラベル情報があいまいなデータセットで構築した予測システム,の3つのシステムで評価実験を実施していく.
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Causes of Carryover |
当該年度の物品費は計算機の購入用としていたが,最新式のGPUが本研究で利用しているライブラリに対応しているか不明だったため,対応状況の確認を行っており次年度使用額が生じた.ライブラリの互換性が確認できたので,次年度使用額より計算機を購入する予定である. 旅費に関しては,新型コロナウイルスの影響により,外部での学会発表や研究打ち合わせが実施できなかったため,次年度使用額が生じた.
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