2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K22522
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
盛田 大輝 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (80881929)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 1,2-アザボリン / BN芳香族化合物 / パラジウム触媒 / 環化付加反応 / B-H結合官能基化 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画にしたがい、パラジウム触媒を用いるアザボリン類のN-H/B-H結合の直接二官能基化反応の開発に取り組んだ。まず1-アザ-2-ボラナフタレンを基質として、パラジウム触媒存在下、種々のビニル化合物との環化付加反応を検討した。その結果、窒素求核剤を生じ得るビニル化合物を用いた際には環化付加反応は進行しなかったものの、置換基をもたないビニルカーボネートを用いた際に、新規3環性オキサザボロリナンが得られることを見出した。興味深いことに、置換フェニルカーボネートを用いると反応成績は全く異なり、新規含ホウ素7員環化合物が得られることも見出した。続いて、3環性オキサザボロリナンの収率向上を目指して反応条件を検討した結果、基質のアザボリン自体がパラジウム触媒の作用により酸化され得るという知見を得た。これをもとに詳細な検討を進めたところ、大幅な収率の向上に成功し、定量的に目的物が得られる条件を確立した。確立した条件をもとに基質適用範囲を広範に検討し、現在までに合計22種の誘導体合成に成功している。本検討にあたっては、置換基や母骨格の異なるアザボリン類を合成・使用したが、インドールやフルオレン等と縮環した新規骨格も用いることで、開発した反応の有用性を実証することができた。さらには不斉合成への展開を念頭に、キラル配位子の使用も検討したところ、キラルなアザボリン誘導体の創出に向けて十分な初期検討結果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の主要目的の1つとしていたN-H/B-H結合の触媒的二官能基化反応の開発において、反応条件や基質適用範囲の検討に留まらず、不斉合成への展開が可能であることも見出すことができた。アザボリン類の不斉合成例はこれまでに報告がないことから、本知見はキラルなアザボリン類の創出に向けて重要な収穫であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度の検討の結果、パラジウム触媒によるN-H/B-H結合の二官能基化反応の開発に成功したものの、その反応機構は未解明である。また、不斉合成の可能性を見出せたものの、キラルなアザボリン誘導体を創出するためには鏡像異性体過剰率の向上が望まれる。そこで令和3年度は、まずこれらの残課題に取り組むこととする。 また、当初の研究計画通り、ホウ素上に活性化基を有する基質を用いて、ボリルラジカル・ボリルアニオンの発生を検討する。すなわち、令和2年度に得られた知見を活かし、取り扱いの容易な基質を設計・合成し、還元的条件下でこれら新規化学種の発生を検討する。
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Research Products
(12 results)