2020 Fiscal Year Research-status Report
典型元素触媒によるクロスカップリングを指向した高配位ケイ素化合物の創製と反応開拓
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20K22529
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安井 孝介 京都大学, 高等研究院, 特定助教 (10877640)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 高配位ケイ素化合物 / クロスカップリング |
Outline of Annual Research Achievements |
遷移金属触媒による有機ハロゲン化物と有機金属試薬とのクロスカップリングは,現在の有機合成化学に必要不可欠な方法論の一つである。一方,持続可能な社会への貢献を鑑みた場合,希少な遷移金属が必須である点が依然問題であり,天然に豊富に存在する典型元素で触媒を代替することが望ましい。これを実現するための最も直截的な方法は,遷移金属触媒の反応機構 をそのまま利用することである。すなわち,触媒サイクルの根幹である遷移金属錯体の2電子酸化・還元過程を代替できる典型元素化合物を触媒に用いる方法である。しかし,既報の典型元素による酸化的付加は大きく分極した結合でしか進行せず,芳香環の C-X 結合を酸化的付加に適用するのは難しい。すなわち,遷移金属を典型元素で代替するには,「酸化的付加に代わる素反応は何か,さらには,その素反応を可能にする典型元素触媒はどのような構造か」という学術的「問い」を解決する必要がある。本申請課題では,上述 2 つの素反応を達成しうる典型元素触媒の基本構造として,超原子価ケイ素化合物の一種であるシラトランに着目した。シラトランは三中心四電子結合という構造的特徴に起因し,① アピカル位酸素は,一般的なシリルエーテルよりも強い Lewis 塩基性をもち,② コンフォメーション変化にともない,エカトリアル位に Lewis 酸性を発現するという 2 つの特徴をもつ。 このような背景のもと,種々の反応剤と高配位有機ケイ素試薬との反応を試みた。その結果,痕跡量のカップリング生成物が GC-MS にて観測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
GC-MS にて痕跡量の目的物を検出することができたものの,その後収率向上には至っておらず,当初の予定よりは遅れている現状である。
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Strategy for Future Research Activity |
さらなるケイ素化合物の構造最適化を試みる。
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Causes of Carryover |
年度をまたいでの使用が可能であるため,少額だけ繰り越した。
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