2020 Fiscal Year Research-status Report
Synthesis of Homocatenated Polymers Composed of Group 13 Elements and Construction of Organic-Inorganic Hybrid Electronic Systems
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20K22532
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 峻一郎 京都大学, 工学研究科, 助教 (30875711)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 典型元素錯体 / 高分子合成 / 光電子物性 / 発光 |
Outline of Annual Research Achievements |
13族元素を構成元素とするホモカテネート高分子の合成手法を確立するとともに、この高分子のσ共役系と有機側鎖のπ共役系が相互作用して得られる、「有機ー無機ハイブリッド電子系」の構築を目的とする。 本年度は、モノマーとなるアルミニウムヒドリド錯体の合成と、それらの錯体と遷移金属錯体との反応を検討し、重合反応の探索を実施した。ヒドリド錯体の合成において、種々の置換位置に多様な立体保護基や電子物性の異なる置換基を導入することに成功し、モノマーライブラリを拡充することができた。遷移金属としてはロジウム・ジルコニウムを検討した。これらの遷移金属とヒドリド錯体の反応により、重合開始反応であるアルミニウムとヒドリドとの結合への遷移金属の挿入反応が進行することが明らかとなった。この反応自体進行が珍しく、重合反応以外にも、様々な有機合成反応への適用も期待される。また、単結晶X線構造解析によって、反応中間体の構造を検討したところ、現在用いている配位子では、嵩高い置換基が反応点を覆っており、反応の進行を疎外している可能性が示唆された。 一方、合成したヒドリド錯体の光物性についても検討したところ、当初予期していなかった、リン光発光特性の著しい変化が観測された。電子的特性はほとんど変えない置換基を導入しているにもかかわらず、立体的構造がわずかに変化するだけで、低温でのリン光発光量子収率が著しく変化した。今後、このようなモノマー自身の光電子物性についても研究を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
重合反応の素反応となる挿入反応過程を種々の遷移金属上で実現することに成功した。一方、続く水素の脱離反応が進行する金属種は見つかっておらず、今後の検討課題である。これを実現するために、今後チタンやニッケルなどの金属を検討するとともに、光反応の検討も行う予定である。 一方、当初予期されていなかった、モノマー自身の発光特性変化についても、興味深い結果を得た。すなわち、配位子のわずかな立体的構造の違いに応じて、リン光発光挙動が大きく変化するという現象を見出した。この結果はリン光発光材料開発において重要な知見になりうる。
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Strategy for Future Research Activity |
重合の成長反応にあたる水素脱離が進行する系を探索する。この反応は活性化エネルギーが高いと予想されるため、光照射を検討する。また、水素脱離を起こしやすいとされるチタンなどの金属についても検討する。また、反応の進行を妨げている可能性のある嵩高い置換基をもたない配位子も検討することで、課題の解決に臨む。 また、新たに見つかったモノマーのリン光発光挙動についても検討を進める。配位子の立体・電子効果を制御し、高効率な室温リン光発光の実現を目指す。
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