2020 Fiscal Year Research-status Report
An anodic oxidation of indole for a new transformation
Project/Area Number |
20K22534
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐藤 英祐 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (20880248)
|
Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
|
Keywords | 有機合成化学 / 有機電解合成 / 陽極酸化 / インドール |
Outline of Annual Research Achievements |
電気の力を駆動力とする有機電解合成の手法は、環境低負荷な骨格変換を可能とすることから近年になって再注目を浴びている。本研究では、生物活性物質に広く存在するインドール含有化合物に対する有機電解合成による骨格変換に取り組んでいる。 インドールは電子豊富な芳香環であることから、酸化条件によってインドールの2位と3位が酸化されることが知られており、この酸化を伴う骨格変換は自然界に広く存在するインドールアルカロイドの生合成過程にも組み込まれている。このことから、インドールの酸化を伴う骨格変換は化合物の特性を活かした無駄のない合成プロセスとなる。このような背景をもとに、申請者はインドール化合物を出発原料として、生合成過程を模倣した陽極酸化による骨格変換法の開発に取り組んでいる。本研究で新たに開発するインドール化合物の骨格変換を広く一般化することが可能となれば、顕著な生物活性を有するような複雑インドールアルカロイドを合成するプロセスに対して、グリーンな手法を提供することができる。 実験開始当初、申請者はインドールの窒素原子にアミノ酸が縮合したN-アシルインドールの酸化的環化反応に取り組んでいた。しかしながら、この反応は目的とする環化体を与えることはなかった。その過程で、2位と3位に置換基を持つインドール化合物を、ハロゲンメディエーターを用いた陽極酸化条件に付すると、2位と3位の酸化に続いて転位反応が進行することがわかった。このような転位反応は生合成過程にも見られることから、この陽極酸化による転位反応を用いれば様々なインドールアルカロイドの骨格変換を行うことができるようになる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたN-アシルインドールに対する陽極酸化を伴う環化反応においては、目的とする骨格変換を引き起こすことができなかった。しかしながら、インドール化合物の陽極酸化による骨格変換について、今回新たに転位反応が引き起こされることを発見した。当初の目的とは異なるものの、電解有機合成によるインドール化合物の新規骨格変換を目的とした研究は順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今回新たに発見した陽極酸化によるインドール化合物の転位反応について、モデル基質においては定量的に反応が進行することが見出された。今後は、本転位反応の基質一般性を確認するとともに、実際に天然有機化合物への骨格変換を見据えて複雑化合物の骨格変換に挑戦するとともに、天然有機化合物の全合成も視野に入れる。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響があり、年度の初めにおいて十分に実験活動を実施することができなかったため、次年度使用額が生じた。一方で、研究活動は順調に進行しており、今後は基質一般性などの調査を目的として様々な種類の試薬を購入する必要がある。これらの試薬の購入費用に次年度使用額を充てる計画である。
|