2022 Fiscal Year Annual Research Report
マグネシウムイオン動態のオルガネラ選択的可視化を可能にする新規蛍光プローブの開発
Project/Area Number |
20K22536
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
坂間 亮浩 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 研究員 (40878170)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 機能性蛍光プローブ / 細胞イメージング / マグネシウムイオン |
Outline of Annual Research Achievements |
マグネシウムイオン(Mg2+)は細胞内で様々な重要な役割を担っており、その細胞内動態の解明が疾患のメカニズム解析や新たな生命現象の発見につながると期待される。そこで本研究では、細胞イベントにおけるオルガネラ選択的なMg2+動態やマルチカラーイメージングによる関連シグナルとの相関性の可視化を目的とし、タグタンパク質HaloTagに特異的に結合するリガンドを導入した新規Mg2+蛍光プローブの開発を目指した。 HaloTagリガンドを導入した非対称ジアリールシランを合成し、Mg2+認識部位であるキノリジン部位を導入することで目的のSi-ローダミン型プローブKMG-500Haloを得た。このプローブについて、所属研究室にて以前に開発されたKMG-500シリーズと同様に近赤外域に吸収・蛍光波長を持つとともに、Mg2+濃度に応答した蛍光のOFF-ON制御が起こることを確認した。細胞質にHaloTagと赤色蛍光タンパク質を形成させたHeLa細胞をKMG-500Haloにて染色したところ、同プローブはHaloTagの形成の有無に関わらず、ミトコンドリア等のオルガネラに局在化した。この現象はプローブの疎水性の高さが原因であると考察した。また、キノリジンリガンドでは細胞内の遊離Mg2+とMgATP等の複合体との判別が困難であるとされるため、高親水性かつ遊離イオン選択的なリガンドAPDAPを採用したプローブの開発に取り組んだ。これらAPDAPプローブはMg2+応答性に乏しかったが、カルシウムイオン(Ca2+)に対してTurn-ON型の蛍光応答を示した。高親和性Ca2+プローブFluo-4と共染色したラット海馬神経細胞へのグルタミン酸添加実験において、Fluo-4で検出できなかった蛍光輝度変化の観測に成功したことから、APDAPプローブを低親和性Ca2+プローブとして応用できる可能性が示唆された。
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