2020 Fiscal Year Research-status Report
酸化還元電位を巧みに制御した可視光有機レドックス触媒反応による含酸素複素環合成
Project/Area Number |
20K22537
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
田中 健太 東京理科大学, 薬学部生命創薬科学科, 助教 (30880736)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 光レドックス触媒 / チオキサンチリウム塩 / 酸化還元電位 / 含酸素複素環 / 緑色光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、可視光レドックス触媒を利用した硫黄原子の一電子酸化に基づく短寿命活性種の発生を基盤とする環化付加反応による、含酸素複素環化合物の合成を目的とする。この反応を実現させる上で鍵となるのは、高い酸化力を有する光レドックス触媒を環化付加反応に利用する点にある。そこで本年度は申請者が独自に開発した緑色光を光源として利用することのできるチオキサンチリウム型有機光レドックス触媒(TXT)を更に発展させることを通じて、高い酸化力を有する光レドックス触媒を開発すべく検討を行った。 チオキサンチリウム型有機光レドックス触媒の酸化力を高めるためには電子求引基を導入する必要がある。そこで、ジアリールスルフィドと電子求引基を有する酸ハロゲン化物の反応により、ニトリル、クロロ、トリフルオロメチル基等の電子求引基を有するチオキサンチリウム塩を合成することに成功した。サイクリックボルタンメトリーによる酸化還元電位測定を行ったところ、これらのチオキサンチリウム塩は良い可逆応答を示したことから、光レドックス触媒としての利用が期待できる結果を得た。更に環化付加反応に利用する硫黄原子を有する基質の酸化電位を測定したところ、合成したチオキサンチリウム塩で一電子酸化を進行させることができる電位を有することが分かった。今後は合成した種々のチオキサンチリウム型有機光レドックス触媒を硫黄原子の一電子酸化を鍵とする環化付加反応に応用することで、含酸素複素環化合物の合成を開発する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、硫黄原子を有する基質を一電子酸化することのできる、電子求引基を導入したチオキサンチリウム型有機光レドックス触媒を開発することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
合成した種々のチオキサンチリウム型有機光レドックス触媒を緑色光照射下、硫黄原子を有する基質の一電子酸化を鍵とする環化付加反応に応用することで、含酸素複素環化合物の合成を行う予定である。具体的には反応に用いる溶媒や基質の当量比等を種々検討することにより高収率で含酸素複素環が得られる条件を確立した後に基質の適応範囲の検討を行う。また本反応の有用性を示すために、含酸素複素環を母骨格とする生物活性物質の合成を行う。
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Causes of Carryover |
光レドックス触媒の合成実験に使用する溶媒量が当初の予想よりも少なくなったことから次年度使用額が生じた。今後は合成した種々の有機光レドックス触媒を利用した環化付加反応を検討する上で必要となる試薬や溶媒、器具類を購入する予定である。
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