2020 Fiscal Year Research-status Report
Selective Dehydrogenative Molecular Transformation of Cyclic Amines via Tandem Oxidation Catalyzed by Supported Nanoparticles
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20K22547
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷田部 孝文 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (60875532)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / 金 / 協奏的電子移動 / 酸素酸化 / C-H結合官能基化 / アミン / アルキン / 亜鉛 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高難度な環状アミンの位置選択的直接酸化的分子変換を環境調和型手法で達成することであり、担持ナノ粒子触媒特有の多点吸着、協奏的電子移動、機能集積等による、「タンデム酸化を利用した環状アミンの脱水素型選択的分子変換」の開発を行っている。2020年度は、(1)担持Auナノ粒子触媒および亜鉛助触媒による第三級環状アミンの環状メチレン基選択的α-アルキニル化の詳細なメカニズムの解明および高機能化、(2)担持Auナノ粒子触媒による第三級環状アミンのα位もしくはβ位官能基化によるエナミノン合成を行った。 (1)については、本研究の準備状況として、通常のラジカル的なアミン酸化がメチル選択的に起こるのとは異なり、担持Auナノ粒子触媒では第三級環状アミンの環状メチレン基選択的酸素酸化が進行することが分かっていたが、その位置選択性発現のメカニズムが不明であった。そこで、ラジカルクロック・ラジカルスカベンジャーを用いた実験、重水素移動、速度論的解析、速度論的同位体効果など、種々の詳細な実験を行い、担持Auナノ粒子触媒による第三級アミン酸化は酸素分子への協奏的電子(ヒドリド)移動によって進行しているために環状メチレン基選択性が発現していることが示唆された。また、そのステップが律速段階であることも明らかとなり、解明したメカニズムをベースに酸素分子の活性化が期待できる担体を検討したところ、さらなる高活性化に成功した。 (2)については、(1)で発見したアミン酸化能をさらに高度な新規分子変換に応用した反応系であり、様々な反応条件検討により、担持Auナノ粒子触媒によるタンデム酸化を利用することでエナミノンの合成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に、「担持ナノ粒子触媒によるタンデム酸化を利用した環状アミンの脱水素型選択的分子変換」の研究計画として、担持ナノ粒子触媒特有の多点吸着、協奏的電子移動、機能集積等を発現させた触媒を設計し、イミン・イミニウムカチオン中間体生成を鍵反応としたタンデム酸化により、α位官能基化、β位官能基化、芳香族化、エナミン合成、開環を伴う破壊的官能基化など、未踏の高難度分子変換を目指すとしていた。 2020年度においては、5nm程度のAuナノ粒子をヒドロキシアパタイト上に担持した触媒を設計することで、Auナノ粒子への基質・酸素分子の同時吸着、それに伴う協奏的電子(ヒドリド)移動による特異な位置選択的アミン酸化を実現し、鍵反応のイミニウムカチオン中間体生成を確立できたと言える。また、実際に未踏の高難度分子変換として、タンデム酸化を利用したアルキニル化やエナミノン合成といった環状メチレン基選択的α位官能基化に成功し、求電子剤との反応によるβ位官能基化に関する知見も得られた。 以上より、鍵反応の一つを確立し、申請時のターゲット反応もいくつか開発できていることから、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時に、「担持ナノ粒子触媒によるタンデム酸化を利用した環状アミンの脱水素型選択的分子変換」の研究計画として、担持ナノ粒子触媒特有の多点吸着、協奏的電子移動、機能集積等を発現させた触媒を設計し、イミン・イミニウムカチオン中間体生成を鍵反応としたタンデム酸化により、α位官能基化、β位官能基化、芳香族化、エナミン合成、開環を伴う破壊的官能基化など、未踏の高難度分子変換を目指すとしていた。今後は、環状第三級アミン酸化によるイミニウムカチオン生成を鍵とした分子変換をさらに拡張していくと同時に、環状第二級アミン酸化を鍵とした分子変換にも取り組んでいく。 環状第三級アミンのα位官能基化については、より高難度な求核剤との反応を、機能集積したAuベースの担持ナノ粒子触媒で達成していく。β位官能基化やエナミン合成については脱プロトンによる異性化を担体によって制御していく。開環を伴う破壊的官能基化はヘミアミナールの酸化等を多元金属触媒でコントロールして行う予定である。環状第二級アミン酸化を鍵とした分子変換は、イミンの不安定さや求電子性の低さなどが課題ではあるが、第三級アミン酸化の知見を活かし、貴金属ナノ粒子触媒を中心とした多元金属系で吸着能や触媒能を制御したり、担体との機能集積化により求核剤・求電子剤の反応性を高めることで種々の新規分子変換の達成を目指す。
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Research Products
(3 results)