2021 Fiscal Year Annual Research Report
高耐湿性／イオン導電率の両立に向けた全固体電池用新規硫化物ガラス電解質の探索
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20K22558
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| Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
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Principal Investigator |
乙山 美紗恵 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (50880746)
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| Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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| Keywords | 全固体リチウム電池 / 硫化物固体電解質 / 耐湿性評価 / ガラス / ガラスセラミックス / イオン伝導体 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高耐湿性と高イオン導電率を両立できる硫化物固体電解質を開発した。Li4SnS4電解質は、耐湿性の高い材料として報告されているが、室温でのイオン導電率が低い(10－5 S cm－1オーダー)ことが課題として挙げられる。そこで、Li4SnS4よりも高い室温イオン導電率(4 × 10－4 S cm－1)を示すLi3PS4や、分極率の大きなLiIなどの他の成分をLi4SnS4に対して混合することで、導電率の向上を目指した。特に、Li3PS4にLi4SnS4を少量添加し、熱処理によりガラスセラミックスとすることで、9×10－4 S cm－1程度まで室温イオン導電率が向上することを明らかにした。X線回折測定、ラマン分光分析、PDF解析等の各種構造評価により、高いイオン導電率を示した原因は、構造中にSnS4四面体を含むことにより、格子体積が増加し、イオン伝導に有利な構造になっているためであると考察した。これらの新規電解質を用いて、全固体電池を構築したところ、従来使用されてきた電解質を用いた場合よりも電池性能が向上することを確認した。
作製した新規電解質の耐湿性の評価として、調湿した大気環境下で曝露した際に発生する硫化水素量を測定した。特に、0.3Li4SnS4・0.7Li3PS4の組成では水溶液の状態で曝露してもほとんど硫化水素が発生しないことがわかった。また、耐湿性の評価方法として、調湿したガスをフローさせて硫化水素発生量を評価する方法も検討した。今後は、他の構造評価を組み合わせた試験方法の確立を進めていく予定である。
このように、Li4SnS4を含む新規電解質を作製し、高い耐湿性と高いイオン導電率を両立できることを実証した。
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