2021 Fiscal Year Annual Research Report
リグニン由来抗菌物質アセトバニロンの高い資化性を持つ新規微生物株の解析
Project/Area Number |
20K22560
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
樋口 雄大 弘前大学, 農学生命科学部, 助教 (70880045)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | リグニン / アセトフェノン / Pseudomonas / monooxygenase / dioxygenase |
Outline of Annual Research Achievements |
Pseudomonas sp. MHK4株のアセトバニロン (AV) 代謝経路を推定するために, MHK4株の全ゲノム解析を実施し, AVやAVの類縁体の代謝に関わる既知の酵素遺伝子の保存性を調査した。その結果, MHK4株のゲノム中にはAVやAVの類縁体の代謝に関わる既知の酵素遺伝子はいずれも保存されていないことが明らかになった。そこでMHK4株のAV変換能がAV培養時に誘導されることから, RNA-Seq解析によってAV培養時に誘導される遺伝子を網羅的に解析した。その結果, acpCABからなる遺伝子クラスターがAV培養時に最も高く誘導されていた。そこでacpCABを, AV変換能を持たないPseudomonas属細菌に導入し, 得られた形質転換体の休止細胞を調製してAV変換実験を行った。その結果, AVがvanillic acidに変換されることが示された。これらの遺伝子の内, acpABがAVを水酸化してα-ヒドロキシアセトバニロンに変換するmonooxygenaseをコードすることが明らかになった。一方, AcpCはα-ヒドロキシアセトバニロンをCα-Cβ開裂して, バニリン酸に変換するdioxygenaseをコードすることが明らかになった。以上のことからMHK4株がAcpABとAcpCからなる新規の酵素システムによって, AVを代謝することが明らかになった。またMHK4株が優れたAVの資化能を持つ理由の一つとして, AcpABとAcpCが優れた酵素機能を持つためであると推測されるため, 今後AcpABとAcpCの詳細な酵素機能を明らかにすることが望まれる。
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[Presentation] Pseudomonas sp. NGC7株を用いた針葉樹由来サルファイトリグニンのアルカリ水酸化銅酸化分解物からのバニリン酸生産2021
Author(s)
安田 智恵子, 竹内 綾, 樋口 雄大, 坂本 千穂, 石丸 裕也, 上村 直史, 吉川 琢也, 吉田 曉弘, 政井 英司, 増田 隆夫, 園木 和典
Organizer
第66回リグニン討論会