2020 Fiscal Year Research-status Report
A novel approach to establish temperature sensitive mutants through reverse genetics and the functional analysis
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20K22572
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
友井 拓実 基礎生物学研究所, 生命熱動態研究室, 研究員 (70880996)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 温度生物学 / 植物生理学 / 熱ショック応答 / バイオサーモロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、シロイヌナズナを題材とし、異なる生育温度環境の植物を用いることで、温度感受性株の作出法の確立を試みる。温度感受性株は、広義には温度変化で表現型を示す株すべてを指し、これには遺伝子欠損変異株も含まれる。これに対し本研究では、その遺伝子(タンパク質)の活性が温度変化に伴って減少することによって表現型を示す株を温度感受性株とする。このような温度感受性株は、致死性の高い遺伝子の解析に有効であると考えられる。本研究計画は二段階からなる。第一段階では、生育温度と熱ショック応答を指標に、シロイヌナズナと異なる温度感受性をもつ植物の選定を行う。第二段階では、選定した植物の致死性の高い遺伝子とシロイヌナズナの相同遺伝子の入れ替えることで、本研究手法による温度感受性株が有用であることを示す。 今年度は、シロイヌナズナと異なる至適生育温度をもつ植物種の選定にあたった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、当初目的としていた候補植物種の採集ができなかった。そこで、入手が容易な野菜の植物種を実験対象として絞り、その至適生育温度を調べたところ、それらの野菜の成長はシロイヌナズナの栽培温度と近い温度で頑健性を示した。つまり、その至適生育温度の幅が広い、あるいは強い耐寒性をもっているということが考えられた。この結果を踏まえ、当初の研究計画では至適生育温度の決定を植物種選定の第一段階としていたが、それぞれの植物の熱ショック応答の起こりやすさの調査に切り替えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
比較解析する植物種の最終的な選定に至らなかったため。上記の通り、新型コロナウイルスの感染拡大により、目的の植物種の採集に至らなかった。また、限られた時間の中でも、温度変化は多様な影響を植物に及ぼすため、単純な植物体の大きさだけを指標にするというのが困難であったため遅れが生じた。その分、次年度の熱ショック応答の細胞レベルでも行えるように、赤外レーザーを用いた局所的な熱ショック応答の誘導実験系を整備した。当初の研究計画の全体的な熱ショック応答の誘導実験系に加えて、熱ショック応答の起こりやすさい関して適切な評価を期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
比較する候補植物種を増やし、それらの熱ショック応答の起こりやすさを評価する。特に、野菜品種は、安定した生産性を確保するために、幅広い温度適応性を示す可能性がある。次年度は、野生種または品種改良が進んでいない食用種を重点に植物の入手し実験を進めていく。現段階では、それらの候補植物種を入手できる目途が立っている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴い、植物採集やオンサイトでの学会の参加に係る旅費がなくなったため。また、扱える植物種が少なくなったため。前年度分の植物採集の頻度または期間にあてること、また野外植物用の人工気象器等を揃えることを目的として、次年度の使用計画としている。
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