2020 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子組換えカイコを用いたウイルス様粒子(VLP)発現系の構築
Project/Area Number |
20K22582
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
藤本 正太 高崎健康福祉大学, 農学部, 助教 (70880300)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | カイコ / 遺伝子組換え / ウイルス様粒子 / VLP / piggyBac |
Outline of Annual Research Achievements |
ウイルス様粒子(VLP)は次世代型ワクチンとして注目され、様々な発現系を利用した生産が行われているが、現在まで遺伝子組換えカイコ(GMカイコ)の発現系を利用したVLP生産の報告はなかった。そこで本研究では、GMカイコでVLPの形成が可能であるか、を明らかにすることを目的とし、GMカイコを用いたモデルVLPの発現、及びその解析に取り組んだ。 本年度は、まず始めにGMカイコの作出に必要なベクターの構築を行った。モデルとなるVLPをカイコで発現させるために、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)のgag遺伝子とsimian virus 40(SV40)のVP1遺伝子を組換え用のベクターであるpiggyBacへとクローニングし、その配列を確認した。また、組換えベクターは、ウイルス遺伝子のみをクローニングしたものの他に、分泌シグナルを付加したものを構築した。 次に、構築した組換えベクターの内、分泌シグナル付きgag遺伝子をクローニングしたベクターをカイコ卵へマイクロインジェクションした。マイクロインジェクション後、蛍光タンパク質マーカーを利用してGMカイコの選抜を行ったところ、2個体のGMカイコを得ることができた。現在、得られた系統の飼育、解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は組換えカイコを作出するための遺伝子資源の購入や協力機関からの組換えカイコの譲渡など契約が必要な事柄が多く、事務的な手続きに時間がかかった。また、研究者が組換えカイコ作出のための手技の取得することに時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、エンベロープウイルスのモデルであるHIV-1のgag遺伝子を持つカイコ系統を作出することができた。次年度ではgag遺伝子を持つ系統をドライバー系統と掛け合わせ、実際にカイコ体内でのgag遺伝子の発現、及びVLPの形成を確認する。また、ノンエンベロープウイルスのモデルであるSV40についてもカイコ系統を作出し、タンパク質の発現、及びVLPの形成を確認する。
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Causes of Carryover |
GMカイコの作出に予定よりも時間がかかり、解析まで研究が進まなかった。VLPの形成を確認するために、電子顕微鏡観察の外注などを予定していたが、本年度は行わなかったため次年度使用額が発生した。今後については、既にGMカイコの作出が出来ているため、次年度使用額を利用し、計画通りGMカイコの解析を行う。
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