2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K22584
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Research Institution | Kyoto University of Advanced Science |
Principal Investigator |
中田 隆 京都先端科学大学, バイオ環境学部, 講師 (90882548)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | ダイズ / ハスモンヨトウ / 抵抗性 / 生理解析 / 消化酵素 / エネルギー代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ダイズが持つハスモンヨトウ抵抗性の作用機構について,ハスモンヨトウの生理解析から詳細に明らかにすることを目的としている.具体的には,ハスモンヨトウにおける消化酵素やエネルギー代謝に関わる酵素の活性,生育に関わる一次代謝物の変動などに注目し,抵抗性品種あるいは感受性品種を摂食した場合で比較する.抵抗性品種を摂食した際に引き起こされる生理的な異常・変化を手掛かりに,その原因となる抵抗性品種が持つ物質的・遺伝的要因の特定に発展させ,抵抗性がどのようにして機能するのかを明らかにする. 今年度は特に消化酵素活性の比較に注力し,タンパク質分解酵素 (プロテアーゼ) や糖質・脂質の消化酵素の活性測定を中心に取り組んだ.既存の方法を適宜改良することで,プレートリーダーを用いた微量かつ迅速な各活性測定方法の確立ができた.今後の実験では様々な条件・試料などで多検体をハイスループットに分析する必要があるため,この段階で有効な方法を確立できた意義は非常に大きい.そして,抵抗性品種(ヒメシラズ)あるいは感受性品種(フクユタカ)を摂食したハスモンヨトウの中腸内容物に含まれる消化酵素の活性比較の結果から,一群のプロテアーゼ活性が低下することを認めた. また,今後はこれら生理的な変化を引き起こす抵抗性品種が持つ成分などを明らかにすることを予定しているため,多量のダイズを育成するための環境整備・予備的な育成条件検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,ハスモンヨトウにおける特徴的な生理的変化を一部明らかにすることができた.また,各酵素活性の微量かつ迅速な測定方法の共通基盤を整備することができたため,現在着手できていない酵素などに関しても今後加速度的に解析を行うことができる.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に見出した一群のプロテアーゼ活性低下に関してはその詳細が未だ不明である.どのようなプロテアーゼの活性が低下するかをより詳細に解析することで,これを引き起こす要因の解明に繋げる.これに並行して,プロテアーゼ活性低下をもたらす抵抗性品種由来の成分の存在を予想し,その特定に取り組む.また他の糖質・脂質の分解酵素の解析もさらに進め,プロテアーゼ活性以外の生理変化の有無についても明らかにする.さらに,エネルギー代謝に関わる代謝物の定量・比較についても取り組む.
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Causes of Carryover |
想定よりも研究が順調に進んだことにより物品費 (消耗品費) の使用額を大幅に減らすことができた.また,当初に使用必須と想定していたプレートリーダーではなく,グレーティング機能を有したものが利用できたため,高価な波長フィルターの購入が不要となった.加えて,COVID-19の流行により出張が制限・学会がオンライン開催されたため旅費を計上しなかった.次年度は酵素活性測定をより進める他,エネルギー代謝関連代謝物の解析,抵抗性品種の成分の解析・精製などを予定しており,試薬・器具・その他消耗品が多量に必要となる.次年度使用額については,それらの費用として有効に利用する.
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Research Products
(4 results)