2020 Fiscal Year Research-status Report
相転換に関する遺伝子群の時空間的な発現制御機構に関わるゲノム領域の包括的解析
Project/Area Number |
20K22585
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
小郷 裕子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 次世代作物開発研究センター, 主任研究員 (90572214)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 相転換 / 光 / 概日時計 |
Outline of Annual Research Achievements |
全ての作物において、相転換のタイミングは収量とクオリティーの最適化に重要である。相転換は様々な内外的環境により影響を受けるが、主要なものの一つに光と概日時計シグナルによる限界日長応答がある。モデル作物であるイネは、光と概日時計のシグナルを統合することにより、厳密な限界日長応答を可能にしていると考えられている。光と時計シグナルにより発現制御を受ける遺伝子は多数解析されているが、その発現制御機構はほとんどわかっていない。本研究では、維管束における光と概日時計による遺伝子発現制御に関わるエンハンサーとプロモーターとの相互作用を網羅的に解析し、相転換を制御する遺伝子発現の時空間的制御機構を明らかにする。さらに、近年規制が緩和されつつあるゲノム編集で予測エンハンサーを欠失させてその効果を検証すると同時に、直接的に作物開発につなげる。今年度は、以下の実験を進めた。 1. 維管束におけるクロマチン状態を調べるためのイネ形質転換体の作製を行った。 2. フィトクロムを介した光シグナルによる発現応答に関わるエンハンサーを調べるため、フィトクロムに関するChIP-seqを行った。しかし、固定の強度に問題があったと考えられ、良好な結果が得られなかったため、再度条件を検討した。 3. 相転換に重要であり、光と時計シグナルにより制御されるGhd7について、個別にエンハンサー配列の同定に関する実験を行った。その結果、いくつかの相転換や生育に関わるエンハンサー候補を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フィトクロムのChIP-seqについて、ある程度生育したイネを用いて実験を行ったところ、固定時間等に問題があったと考えられ、良好な実験結果が得られなかった。そのため、実験の条件検討を再度行っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 維管束におけるクロマチン状態を調べるためのイネ形質転換体について、最適な形質転換体を選抜する。その後、ChIP-seq等を行う。 2. フィトクロムに関するChIP-seqを行い、光シグナルによる遺伝子発現制御に関するエンハンサーを同定する。 3. いくつかの相転換に重要であり、光と概日時計シグナルにより発現制御される遺伝子について、個別に発現制御機構について調べる。
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Causes of Carryover |
交付が決定してから当該年度が終わるまで半年間であり、その間に新型コロナウイルス蔓延防止のための分散出勤のため研究自体が遅れたことや、組織改編と異動のため予算を使える期間がさらに短かったため、次年度使用額が生じた。令和三年度は、NGS解析のために予算の大半を使用する予定である。
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