2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K22586
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小玉 将史 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 助教 (30883269)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 藻場 / 魚類 / 葉上動物 / 微小分布 / 昼夜変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、藻場に生息する魚類とその餌生物を昼夜で調査して比較することで、これまでほとんど未解明であった魚類の策餌場としての夜間の藻場の機能を明らかにすることを目指す。具体的には、藻場内における各種餌生物の群集構造や微小分布が昼夜でどのように変化しているかを明らかにするとともに、藻場に出現する魚類との被食捕食関係の昼夜変化を明らかにし、各種魚類にとっての藻場の餌料環境を昼夜で比較することで、夜間の藻場の機能を明らかにする。
今年度は、鹿児島県鹿児島市与次郎長水路に繁茂するアマモ場を調査対象として昼夜でSCUBA潜水を実施し、アマモ場に生息する各種餌生物の試料を収集した。現在試料を分析中であるが、部分的に試料を処理した限りでは、藻場の底層の砂泥中には昼夜を問わず巻貝類および多毛類が優占しており、餌生物の群集構造があまり変化しないこと、これに対し、藻場の葉上やさらに上層の水柱中では甲殻類の割合が多く、また、餌生物の群集構造は昼夜で部分的に変化すること、などの傾向がみられた。これらの試料の分析は次年度に継続し、底生・浮遊生物の微小分布の昼夜変化を明らかにする。
今年度には、後述のとおりCOVID-19の感染拡大の影響を受けて、当初の計画から調査地を変更せざるを得なくなった。そのため、調査地の再選定や新たな調査地に合わせた調査機材の整備等の必要に迫られ、研究に遅れが生じた。本来、今年度中には魚類に関する調査も実施する予定であったが、研究計画に遅れが生じたため、年度内に実施することは断念した。次年度には、今年度に採取した餌生物の分析を継続するとともに、魚類の分布調査と消化管内容物分析に特に注力する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画段階では、岩手県内の藻場を調査対象とする予定であり、これまで岩手県において予備調査などを行ってきた。しかしながら、COVID-19の感染拡大のため、鹿児島県から岩手県まで出張することが困難となった。そのため、調査地を、岩手県内の藻場から、所属機関近くの鹿児島県内の藻場に大きく変更せざるを得なくなった。幸いに同種の藻場で調査可能な場所が見つかったものの、予備調査や生物相の調査を一から行う必要が生じたため、計画にやや遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のとおり、調査地を変更せざるを得なくなったため、研究計画にやや遅れが出ている。 次年度は、今年度中に採集した試料の分析を継続することで、各種餌生物の藻場内での微小分布の昼夜変化を明らかにする。これと同時に、藻場内に出現する魚類の消化管内容物分析を昼夜それぞれで実施することで、各種餌生物と各種魚類の被食捕食関係が昼夜でどのように変化するかを検討する。これらを合わせて策餌場としての夜間の藻場の機能を明らかにすることを目指す。
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