2020 Fiscal Year Research-status Report
体長の性差を生み出すメカニズムから解き明かす養殖魚の商品価値の向上に向けた研究
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20K22587
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加用 大地 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任研究員 (40880373)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 体長の性差 / エストロゲン合成酵素 / 摂食関連遺伝子 / 脂質代謝 / メダカ |
Outline of Annual Research Achievements |
cyp19a1bノックアウト(KO)メスメダカにおいて観察される摂食量の減少に関して、これの原因となる遺伝子の探索を行った。真骨魚類において摂食量調節に関与していることが報告されている複数の候補遺伝子に対して、in situ hybridization法によって脳内における発現部位の解析を行った。その結果、野生型とKO間で大きく発現量の異なる遺伝子と、その神経核を明らかにした。この遺伝子の発現制御に対する、雄性ホルモン、雌性ホルモンそれぞれの役割について、生殖腺を外科的に除去したメダカに対する投与実験にて解析した。この結果、野生型とKO間で見られた発現量の変化を説明する作業仮説の構築と検証が終了している。現在、この候補遺伝子が実際にメダカの摂食行動に寄与しているかどうかを検証するため、CRISPR/Cas9法を用いたゲノム編集によるKO系統の作製を進めている。これらの系統のライン化およびジェノタイピング法については既に完了しているため、今後ホモKO個体の表現型解析を予定している。 cyp19a1bKOオスメダカにおいて示唆される脂質代謝経路の異常に関して、脳・肝臓・筋肉のメタボローム解析を実施し、KOオスに特徴的な脂質・アミノ酸含有量の変化について明らかにした。加えて、肝臓組織の脂肪細胞を染色するためのプロトコールを確立し、KOオス特異的に脂肪含有量が増加していることの組織学的な予備実験結果を得ている。今後は、各組織の脂質含有量や代謝関連遺伝子の発現量定量に関しての追試をおこなう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
cyp19a1bKOメダカの雌雄において観察される表現型の解析を予定通り進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
摂食行動に関連する候補遺伝子について、絞り込みを行ったKO系統の確立が完了しており、今後は表現型の解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度は新型コロナウイルスによる研究活動縮小の影響を受け、研究の開始が数ヶ月遅れることとなった。このため実験に使用する実験動物および実験系立ち上げの準備の遅れから、想定していたよりも使用金額が少なくなった。 翌年度以降は遺伝子改変動物のジェノタイピングに必要なシーケンス解析外注費用や学会発表を多く予定しており、今回生じた差額を含めて研究費を活用する予定である。
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