2020 Fiscal Year Research-status Report
集落排水汚泥と食品廃棄物の混合メタン発酵効率化のための最適な原料貯留条件の解明
Project/Area Number |
20K22604
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
折立 文子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 主任研究員 (90535303)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 混合メタン発酵 / 農業集落排水汚泥 / 食品廃棄物 / 前処理条件 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、農業集落排水汚泥(以下、集排汚泥)と食品廃棄物の混合メタン発酵の効率化を目指し、メタン発酵の前段の工程における原料の分解性向上とメタン生成量の増加が図れる条件を解明することである。 本年度は、集排汚泥と食品廃棄物等の混合メタン発酵の実証施設において調査を行い、メタン発酵槽の前段に設けられている原料混合槽の状況を確認した。また、原料混合槽における原料滞留日数の違いが、原料の可溶化・加水分解、酸生成およびメタン生成に及ぼす影響を把握するための予備試験を行った。試験には、原料混合槽から採取したHRT10日程度の集排汚泥と家庭生ごみの重量比1:1混合物を用い、これに集排汚泥と食品廃棄物の重量比1:1混合物を1/10量添加し、嫌気条件、20℃、攪拌速度100rpmで、0、1、3、5、7、10、14日間培養し、各試料のTS、VSおよび有機酸濃度等を測定した。食品廃棄物は、既往の文献を参考に作成した模擬生ごみとコーヒーかすをVS比1:1となるように混合したものを用いた。さらに、培養日数が0、3、5、7、10、14日の試料について、中温条件(37℃)での回分式メタン発酵試験を行い、各試料の投入VSあたりの積算メタン生成量を求めた。 試験の結果、培養日数の増加に伴い、TSおよびVSの減少が見られた。また、有機酸のうち、ギ酸や酢酸は、培養日数の増加につれて増加した。回分式メタン発酵試験による投入VSあたりの積算メタン生成量は、培養期間が長い試料程多かった。 以上より、原料混合槽における滞留日数が14日程度までは、滞留日数の増加に伴う原料の可溶化・加水分解や酸生成の進行、原料の分解性の向上およびメタン生成量の増加が期待できることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メタン発酵の前段の原料混合工程における滞留日数の違いが、原料の分解性やメタン生成ポテンシャルに及ぼす影響について、現地調査をふまえた条件下での予備試験により確認できたため、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の予備試験の結果をふまえ、原料混合槽での原料滞留期間をより長く設定した場合や、分解性が低い有機物が高い割合で原料に含まれる場合等について、前年度に引き続き培養試験および回分式メタン発酵試験を行い、原料の分解性向上とメタン生成量の増加が図れる条件をとりまとめる。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の拡大による影響を受け、参加予定だった学会がオンライン開催となったり、必要な消耗品や試料分析等についてはまとめて発注したりする等して、効率的に研究費を使用して発生した残額である。 次年度において、試験における試料数や分析項目および頻度を当初より増やし、その分析のための消耗品購入に使用する予定である。
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