2020 Fiscal Year Research-status Report
受精時ゲノム編集技術を用いた低モザイク性遺伝子ノックイン技術の開発
Project/Area Number |
20K22608
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
鈴木 亨 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (70455351)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 遺伝子改変 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに申請者らの開発した受精時ゲノム編集法では、胚発生に与える障害を低減するとともに、動物個体における遺伝子改変のモザイク性を低減できる可能性がある。本研究においては、受精時ゲノム編集と非相同組み換え依存的遺伝子導入技術を利用することによって、より高効率で様々な状況に柔軟に対応できる遺伝子導入マウスの作製法の開発を目的とする。
本研究遂行のためには、マイクロマニピュレーターおよびピエゾ駆動型マイクロインジェクターによるマウス未受精卵への分子の導入および、細胞内精子注入法(ICSI)を介した受精卵の作製を高い精度で行い、良好な発生能を持つマウス胚を得るための環境が不可欠である。研究開始初年度は、新しい研究環境におけるこうした受精時ゲノム編集に必要な技術のためのセットアップをメインに行った。新環境ですでに稼働していたマウス受精卵顕微操作用機器を流用することで、マイクロインジェクションを行ったマウス未受精卵に対してICSIを行い、卵操作後の生存率、受精卵の作製率、胚盤胞期への良好な発生率を持つ胚の作製環境をほぼ整えるに至っている。またこの過程で、実験の速度や精度の改善において検討すべき項目(マイクロガラスツールの作製環境、倒立顕微鏡の設定および周辺機器環境を含む)のリストアップを行っている。 また、CRISPR/Casシステムを利用してマウスゲノム内へ遺伝子を導入するため、遺伝子マーカーとして緑色蛍光遺伝子(GFP)を搭載するベクターをデザインし、この構築を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始段階では、保有する研究設備等がマウス受精卵への顕微操作(マイクロインジェクションなど)を行うために特化した環境下にあったことにより、マウス未受精卵への顕微操作やピエゾ駆動型ICSIを行うための設定や不足物品の導入から開始している。研究立ち上げ初年度であることに加え、コロナ対応等により、より適した研究環境の整備と実験用物資の調達に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲノム編集マウス胚の作製とその分子細胞生物学的な解析に移行する。学内の学術支援、共通機器および外部の実験支援サービスなどの積極的利用により、本研究に関連する物資の調達やデータ取得の効率化を図る。また、マウス卵顕微操作のためのさらなる環境整備を進める。
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Causes of Carryover |
当該年度には研究環境の整備を主に行っており使用額が予測を下回った。これに加え、一部物品の供給不足が生じていることにより、納品が次年度予定もしくは未定となるものについて次年度扱いでの購入計画に切り替えたことから、次年度使用額が生じた。 当該年度で予定していた実験の一部を次年度分の実験と合わせて行い、次年度使用額と翌年度分として請求した助成金を合算したものを計画通り使用する。
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