2021 Fiscal Year Annual Research Report
機械学習を用いた大脳組織電子顕微鏡画像解析プラットフォームの開発
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20K22622
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河合 宏紀 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 客員研究員 (20784391)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 深層学習 / 電子顕微鏡 / プラットフォーム / 大脳組織 / オルガネラ / ミトコンドリア / クリステ |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、電子顕微鏡画像取得の様々なステップを自動化する技術が発展し、膨大な情報量の電子顕微鏡画像が得られるようになってきた。しかし、その解析は未だ手動に頼る部分が多く、組織微細構造解析の律速になっている。特に神経細胞においては複雑な細胞間相互作用と細胞内イベントを同時に解析することが求められている。そのため、細胞レベル・細胞小器官レベルといった異なるスケールの解析を行う必要があり、その解析にかかる時間は膨大である。そこで本研究では、近年目覚ましい発展を遂げている機械学習を用いて大脳組織電子顕微鏡画像解析ツールを開発し、1細胞全体のセグメンテーションおよび細胞内オルガネラのセグメンテーションを効率化することでこれまで不可能だった神経細胞の形態と細胞内オルガネラ間コンタクトの同時解析を行い、それらの相関を網羅的に明らかにすることを目指した。その結果、研究開始当初はプロトタイプであったツールを発展させ、対話的深層学習を活かしたhuman-in-the-loop (HITL) workflow (PHILOW) として公開した。このツールを活用することによって、人を超える精度での微細構造セグメンテーションを達成し、これまで十分には明らかでなかったミトコンドリア内クリステの構造を多数セグメンテーションすることで明らかにした。本研究の結果は、今後の神経科学の研究を大幅に効率化したことで、神経細胞の形態やシナプス形成の制御メカニズムの解明に必須の情報を提供すると期待される。
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