2020 Fiscal Year Research-status Report
Molecular mechanism involved in the uptake of ostracod luciferase into luminous fish Parapriacanthus
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20K22627
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
別所 学 (別所ー上原学) 名古屋大学, 高等研究院(理), 特任助教 (80880434)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 盗タンパク質 / タンパク質発現 / ルシフェラーゼ / 生物発光 |
Outline of Annual Research Achievements |
発光魚キンメモドキParapriacanthus ransonnetiは、トガリウミホタルCypridina noctilucaのルシフェラーゼタンパク質を発光器に取り込むが、その動態は不明である。また、免疫組織化学による染色像より発光細胞の細胞質にルシフェラーゼが存在することから、膜介在性の取り込み機構などによりルシフェラーゼが取り込まれていると予想される。すなわち、膜に局在するトガリウミホタルルシフェラーゼ受容体の存在を想定して、これを同定することを目指す。 本年度はルシフェラーゼ受容体を分析するために、リガンドとなるトガリウミホタルルシフェラーゼのタンパク質異種発現を行った。トガリウミホタルルシフェラーゼは複雑な高次構造を持つため、大腸菌を用いては発現することができず、酵母Pichia pastorisを用いて発現実験を行なった。リガンドタンパク質は大量に必要となると予想されるため、発現条件やタンパク質精製の検討を行なった。その結果、ワンステップの精製で培養液あたりの収量を2-4 mg/Lまで向上した条件を見出し、これを採用した。現在は、トガリウミホタルルシフェラーゼの大量発現を行なっており、今後、これを用いてルシフェラーゼ受容体の同定を進める。 一方で、キンメモドキは昨年度に引き続き不漁となった。全国の漁業関係者や水族館関係者から情報収集をおこなったが、このような大規模な不漁はここ数十年で初めてのことであった。現在は、SCUBAダイビングによる分布調査を検討しており、本年度はその準備として潜水士の資格を取った。次年度以降も、不漁が続く可能性を考慮した研究計画の練り直しが必要だと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はルシフェラーゼ受容体を分析するために、リガンドとなるトガリウミホタルルシフェラーゼのタンパク質異種発現を行った。トガリウミホタルルシフェラーゼは複雑な高次構造を持つため、大腸菌を用いては発現することができず、酵母Pichia pastorisを用いて発現実験を行なった。リガンドタンパク質は大量に必要となると予想されるため、発現条件やタンパク質精製の検討を行なった。その結果、ワンステップの精製で培養液あたりの収量を2-4 mg/Lまで向上した条件を見出し、これを採用した。本研究費を使用して、培養震盪器を購入し本年度の成果が得られた。現在は、トガリウミホタルルシフェラーゼの大量発現を行なっており、今後、これを用いてルシフェラーゼ受容体の同定を進める。 一方で、キンメモドキは環境変動や海峡の変化の影響をうけてか、昨年度に引き続き不漁となった。全国の漁業関係者や水族館関係者から情報収集をおこなったが、このような大規模な不漁はここ数十年で初めてのことであった。現在は、SCUBAダイビングによる分布調査を検討しており、本年度はその準備として潜水士の資格を取った。次年度以降も、不漁が続く可能性を考慮した研究計画の練り直しが必要だとかんがえられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度検討したタンパク質発現条件を用いて、トガリウミホタルルシフェラーゼを大量に調製する。これを用いて受容体の同定を進める。 研究材料であるキンメモドキの生体の調達は、不漁が続く場合より難しくなると予想される。関係者の聞き取りからは、このような全国規模の不漁はキンメモドキに限らずその他おおくの魚種についてもあてはまっており、これまでの経験からは漁の状況がまったく予想ができなくなっていることが明らかになった。定置網漁では実際の生物相を把握することが難しいため、より直接的な方法として、今後自ら潜水調査をおこう。さらに、各地のダイバーとの情報交換を進めることで分布の調査をすすめる。不漁が継続する場合は、比較トランスクリプトーム解析などを併用し、受容体タンパク質の同定を目指す。そのためには、詳細な発光器や非発光器の細胞レベルでの組織学的が必要になるが、そのような研究例は全くない。キンメモドキの組織学的知見を得るために、薄切切片の作成や一般染色・免疫染色を行い、詳細な理解を目指す。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況に応じて必要な器具試薬を購入している。当該年度の研究は概ね順調に研究を進めることができているが、比較的少額の予算を使用するに至らなかった。これらの予算は次年度に繰越し、必要に応じて研究を円滑に進めるために使用する。
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Research Products
(1 results)