2022 Fiscal Year Research-status Report
高分解能X線および中性子線回折による高電位鉄硫黄タンパク質の酸化還元反応の理解
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20K22642
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| Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
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Principal Investigator |
花園 祐矢 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (00750465)
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| Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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| Keywords | 電子伝達タンパク質 / 精密構造解析 / 中性子構造解析 / X線構造解析 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では高電位鉄イオウタンパク質(HiPIP)の水素原子を含めた高分解能での構造解析を目的としている。本研究期間において、HiPIPの中性子構造解析のデータのH/D交換比の情報から、鉄イオウクラスターの疎水性領域の評価を行った。
中性子構造解析におけるデータ測定の際、重水置換後の結晶を用いて測定は行われる。表面残基のほとんどの水素原子は重水素原子と交換されていた一方、鉄イオウクラスター周辺の水素原子は交換されなかった。特に、Cys61とCys75周辺の連続した領域のアミドプロトンは軽水素のまま維持されていた。残基番号72-76と相互作用する残基番号11-20のアミドプロトンは重水素原子との交換は行われていないが、残基番号27-32（らせん構造を形成）および残基番号49-58（βシート様構造を形成）は重水素原子に交換していた。これらのことから、鉄イオウクラスター周辺には、溶媒分子がアクセスできないことが示唆された。HiPIPの鉄イオウクラスターは、全体が疎水性残基で囲まれている。この領域の疎水性はHiPIP間で厳密に保存されており、これらの保存領域はH/D交換比と強い相関を示した。これらのことから、HiPIPの鉄イオウクラスターは疎水性環境下において強固に保持されており、クラスターを囲む疎水コアの高い剛性が、溶液中での高い酸化還元電位の維持に重要な役割を果たしていると考えられる。
中性子結晶構造解析用のHiPIP還元型の結晶作製、1Å分解能を超える高分解能での中性子構造解析を目指した結晶作製、さらに電子線を利用した構造解析を行うための結晶作製を行った。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中性子構造解析に関しては順調に進行した。さらに、電子線を用いた解析も検討しており、予定よりも進んでいる。一方で量子化学計算に関してはやや遅れている。
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| Strategy for Future Research Activity |
HiPIP還元型の中性子線データを取得する。HiPIPの電子線回折データを取得し、電荷の決定を目指す。また、量子化学計算を行い、鉄硫黄クラスターのスピン状態やエネルギー状態を明らかにする。
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| Causes of Carryover |
海外出張に行く予定をキャンセルしたために次年度使用額が生じた。
発表予定だった学会発表等に使用する。
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