2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K22656
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| Research Institution | Kobe University |
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Principal Investigator |
清水 達太 神戸大学, 医学研究科, 学術研究員 (70882869)
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| Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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| Keywords | 老化 / 視床下部 / タニサイト / 神経幹/前駆細胞 / 細胞間接着分子 / ネクチン / Sox2 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
視床下部の第三脳室の側壁を覆うタニサイトは、脳脊髄液中のグルコース濃度を感知する役割を持つほか、神経幹/前駆細胞としての自己増殖能と神経細胞への分化能を有している。近年、タニサイトの正常な機能維持が個体の寿命伸長に関与することが示唆されているが、老化過程におけるタニサイトの神経幹/前駆細胞機能の維持機構は不明である。本年度は、この維持機構にタニサイトにおける細胞間接着とシグナル伝達が関与すると予想し、タニサイトにおける細胞間接着分子の局在と幹細胞マーカーSox2の発現について解析した。
まず、カドヘリンやネクチンをはじめとした細胞間接着分子の局在を免疫染色法で確認し、各分子が局在するタニサイトの領域が異なることを見出した。次に、これらの局在が老齢マウスや高脂肪食によるストレスを与えたマウスで変化するか検討したところ、ある特定のネクチンの局在だけが顕著に変化した。以上の結果から、このネクチンがタニサイトの加齢依存的な変化と関連することが示唆された。
次に、タニサイトにおける幹細胞マーカーSox2の発現を確認したところ、既報告の通り、老齢マウスや高脂肪食によるストレスを与えたマウスでタニサイトにおけるSox2の発現は減少していた。一方で、弓状核においてもSox2陽性の細胞が存在しており、これらの多くは神経細胞マーカーNeuNとの二重陽性細胞であった。若齢マウスでは、このSox2陽性の神経細胞の大部分はアグーチ関連ペプチド（AgRP）ではなく、プロオピオメラノコルチン（POMC）より産生される副腎皮質刺激ホルモン（ACTH）を発現していた。さらに、このSox2とNeuNの二重陽性細胞は老齢マウスや高脂肪食によるストレスを与えたマウスでは減少することを明らかにし、この成果をFront. Aging Neurosci.誌に報告した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定よりも早くタニサイトにおけるネクチンの加齢依存的な変化を見出すことができた。また、このネクチン遺伝子の欠損マウスを用いた解析も進めており、複数の新たな知見が得られている。さらに、神経幹/前駆細胞機能を持つタニサイト以外に、Sox2陽性の神経細胞を新たに同定し、その加齢依存的な変化を明らかにして論文として報告することができた。このように本研究課題はおおむね順調に進展している。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後は、加齢依存的に変化するネクチンに着目し、遺伝子欠損マウスにおける他の細胞間接着分子の局在、タニサイトにおけるSox2の発現、弓状核におけるSox2陽性神経細胞が変化するかを検討する。また、超解像顕微鏡を用いてこのネクチンをはじめとした細胞間接着分子の詳細な局在関係についても解析を進める。さらに、初代培養タニサイトや視床下部由来のニューロスフィアを用いてこのネクチンを欠損した時の自己増殖能と分化能が変化するか検討を行う。
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| Causes of Carryover |
交付時期が今年度9月であったため、今年度の解析にはこれまでに在籍研究室で飼育していた若齢マウス、老齢マウスや高脂肪食ストレス下のマウスのみで十分であり、試薬類に関しても既存のものだけで対応可能であった。今年度の成果で加齢依存的に変化するネクチンを新たに見出しており、次年度にはこのネクチンの遺伝子欠損マウスだけでなく、神経幹細胞特異的にこのネクチンを欠損させたマウスを用いて免疫染色を行うとともに、初代培養タニサイトや視床下部由来のニューロスフィアを単離、培養する。そのため、次年度に当初の予定よりもマウスの飼育および試薬の購入に多額の費用を要することが予想され、次年度に繰り越した。
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Research Products
(1 results)
