• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2020 Fiscal Year Research-status Report

ミトコンドリア内膜構造が導く新たなオルガネラ分裂機構

Research Project

Project/Area Number 20K22662
Research InstitutionRikkyo University

Principal Investigator

川波 しおり (赤羽しおり)  立教大学, 理学部, 助教 (70793355)

Project Period (FY) 2020-09-11 – 2022-03-31
Keywordsミトコンドリア / クリステ構造 / ミトコンドリア分裂 / MICOS
Outline of Annual Research Achievements

ミトコンドリアは外膜と内膜からなる二重膜オルガネラであり、内膜は内部に陥入し折りたたまれたクリステ構造を形成する。このミトコンドリアの複雑な内部構造により、生命活動に必要なエネルギーが効率よく産生される。このようなミトコンドリア高次構造は、ミトコンドリア同士が融合と分裂を絶え間なく繰り返すことにより維持されている。
ミトコンドリア分裂についてはこれまで、細胞質に存在するダイナミン様タンパク質Drp1による外膜側からの分裂機構が明らかにされてきた。しかし、クリステに代表される複雑な膜構造を持つ内膜の分裂を、外部からの切断だけで理解することは難しく、ミトコンドリア分裂機構の全容は未だに捉えきれていない。ミトコンドリア分裂の理解には、内部の膜構造の変化に焦点を当てることが必須である。本研究では、ミトコンドリア内部構造に焦点をあて、その変化がミトコンドリア分裂に果たす役割を明らかにすることを目指す。特に、クリステ構造の形成に働くタンパク質を解析することで、内膜が主導する切断機構の存在を明らかにし、ミトコンドリア分裂機構の全体像を理解する。
2020年度は、ミトコンドリア分裂が促進する条件として低酸素環境におけるミトコンドリアの機能を解析した。低酸素環境においてミトコンドリアタンパク質の局在や発現量を調べ、ミトコンドリア膜電位との関係について解析を行った。結果として、低酸素環境下では、膜電位が低下したミトコンドリアへのユビキチンリガーゼの移行が促進されることがわかり、低酸素誘導によりミトコンドリア品質管理が制御されている可能性が示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

ミトコンドリア分裂が促進する条件として、低酸素環境下におけるミトコンドリア機能を解析した。ミトコンドリアタンパク質の局在や発現量を調べ、膜電位との関係について解析を行ったところ、低酸素環境は、ミトコンドリア分解を促進させることが示された。また、クリステ形成因子であるMIC60のリン酸化について、その分子機構や生理的役割の解析を行ったところ、MIC60のリン酸化はMICOS複合体形成やクリステ構造には影響を及ぼさないことが示唆された。今後、MIC60のリン酸化がミトコンドリア分裂に及ぼす影響について解析を行う。

Strategy for Future Research Activity

1)分裂位置におけるクリステ構造形成因子の機能の解明
低酸素環境などミトコンドリアの分裂を促進する条件の下で、薬剤の処理や外膜切断因子Drp1のノックダウンによって外膜の切断を止める。これにより、分裂に応じた内部構造の変化のみを促進・蓄積させ、ミトコンドリア分裂におけるクリステ構造形成因子の機能を解析する。外膜切断を行うDrp1の局在が分裂起点となるため、Drp1の局在に対する内膜形成因子の位置関係を電子顕微鏡解析及び超解像顕微鏡解析により調べる。LC-MS解析や免疫沈降法により、分裂時の内膜形成因子の複合体形成や結合タンパク質について解析する。
2) MICOS複合体のリン酸化によるミトコンドリア分裂の制御機構の解明
Drp1のリン酸化は、ミトコンドリア分裂を促進させることが知られている。またこれまでに、クリステ形成因子であるMICOS複合体の主要サブユニットがPKAによりリン酸化されることが明らかになっている。そこで、MICOS複合体のリン酸化についても、ミトコンドリア分裂への関与を検討する。MICOS複合体のリン酸化がミトコンドリア分裂に及ぼす影響を、生化学的解析及び電子顕微鏡解析により調べる。

Causes of Carryover

2020年度、2021年度ともに物品費が主な内訳である。2020年度は、すでに作成済み、購入済みである抗体や、樹立済みである安定的発現株を用いてミトコンドリア機能の解析を行った。このため、物品費の内訳は主に、細胞培養用の培地や血清、プラスチック用品のみであった。また、2020年度は学会等への参加はなかったため、物品費以外の支出はなかった。これらのことから次年度使用額が発生した。2021年度では、細胞を培養するための培地や血清に加えて、DNA・RNA導入試薬、生化学解析用の試薬が必要となる。また2021年11月に開催予定の生化学会に参加する予定であり旅費や学会登録費が必要となる。

URL: 

Published: 2021-12-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi