2021 Fiscal Year Annual Research Report
神経ペプチドPACAPによる情動処理機構の修飾メカニズム
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20K22694
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
遠山 卓 東京慈恵会医科大学, 医学部, ポストドクトラルフェロー (20875520)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 恐怖記憶 / 情動 / シナプス可塑性 / 光遺伝学 / 細胞内シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
音や匂いといった外部環境の感覚情報を処理し適応的な行動を表現するためには、扁桃体中心核(CeA)が重要な役割を担う。しかしながら、適応行動を支えるCeAの神経回路とそのシナプス制御機構には未だ不明な点が多い。本研究では、神経ペプチドを介した可塑性修飾という着眼点から脳幹にある腕傍核(PB)から扁桃体への直接入力(PB→CeA経路)において、シナプス可塑性修飾のメカニズムおよびそこでの可塑性の情動行動制御における生理的意義の解明を目指した。 本年度は、前年度に引き続きPB→CeA経路特異的にin vivoレベルで神経活動を光・化学遺伝学的に操作することで、この経路の可塑性に対して人工的な介入・操作を行い、情動行動へ及ぼす影響の解析を進めた。また、所属グループが独自に開発を進めている細胞内シグナル伝達の光遺伝学的操作系も導入することで、神経ペプチドによる可塑性修飾の細胞内シグナル伝達機構とその個体レベルでの影響についての行動薬理学的な解析を進めた。PB→CeA経路において光ファイバーを用いたin vivoワイヤレス光刺激系を導入し、経路特異的な光操作によって可塑性誘導を行ったところ、情動行動の制御異常が観察された。このような可塑的変化と行動変容は人工的な光操作のみでなく、ストレス関連疾患モデル動物においても認められ、PB→CeA経路の可塑性と行動変容の関連が示唆された。
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