2020 Fiscal Year Research-status Report
Role of prostanoid-related mediators in restraint stress-induced sympathetic activation
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20K22695
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
呉 ユー秋 愛知医科大学, 医学部, 助教 (40717154)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | ストレス / メディエーター / 交感神経系 / 室傍核 |
Outline of Annual Research Achievements |
ストレス応答の持続はうつ病などストレス関連疾患の発症の契機となる可能性があり、メカニズムの解明が重要である。我々はこれまで、脳内プロスタノイド及びその合成に関わる酵素や転写因子群がメディエーターとして、中枢性交感神経系の活性化機序に関与している可能性を見出した。本研究は、ストレス負荷時の中枢性交感神経系の活性化機序を、ラットの視床下部室傍核(PVN)におけるメディエーターの発現動態と相互作用を解析することによって解明することを目的とする。今年度は、脳内ストレス応答に関連するメディエーターの発現動態を解析する事に重点を置き検討し、以下の結果を得た。 (1)まずはラットのPVN組織全体を用いたメディエーターのmRNA発現量をリアルタイムPCRで分析する至適な条件を検討し、実験系を確立した。 (2)次は雄性成年ラットを用いて急性の拘束ストレス負荷実験を行った。ストレス負荷により、血中のノルアドレナリン及びアドレナリンレベルは共に有意に上昇した。経時的に採取したPVN組織サンプルをリアルタイムPCRにより分析したところ、6時間のストレス負荷によって、COX-1とTxSのmRNA発現量が有意に減少したが、COX-2とmPGES-1のmRNA発現量が有意に増加した。また、転写因子NFκBのmRNA発現量は有意な変化がなかったが、IκB-αのmRNA発現量が増加した。以上の実験結果から、これらPVNに産生されるメディエーターの変化が、拘束ストレス負荷による血中カテコールアミン増加に関与する事が示唆された。 (3)更に、急性の拘束ストレス負荷時PVNにおけるNFκB経路の活性化とCOXらの発現への関与を、NFκB阻害剤PDTCの投与実験により検討したが、上記のメディエーターのmRNA発現に及ぼす影響をほぼ見られなかった。検証する為、NFκBのタンパク発現又は活性レベルの定量を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は、当初の計画通りに、ラットを用いて急性拘束ストレス負荷実験を行い、血中カテコールアミンの分析とPVNにおけるストレス応答メディエーター分子のmRNA発現の分析は終了している。得られた結果から、ストレス負荷時NFκB経路の活性化とCOXらの発現への関与を検討したく、NFκB阻害薬を用いた薬理学的解析実験を行った。そこで、NFκBのタンパク発現または活性レベルの定量などの分析手法によって更なる検証が必要になり、これらの検討と解析を優先的に進めている。よって、計画していたCRFの変化、プロスタノイド産生の変化について分析はまだ実施していないが、次年度に順次取り組んでいく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度の引き続きとして、急性拘束ストレスを負荷したラットのPVNにおける各種の関連メディエーター分子の発現動態の分析を全面的に進め、結果を裏付けるデータを確実にして行く。そして、当初の計画に従い、上記の解析で得られた結果に基づいて、各種受容体遮断薬および酵素阻害薬を用いた薬理学的解析を行って、急性拘束ストレス負荷による血中カテコールアミン増加に関与するメディエーター因子間の相互作用と伝達経路に取り組む予定である。具体的には、ラットの実験群(拘束ストレス負荷+薬物処置)および対照群(拘束ストレス負荷+薬物無処置、拘束ストレス負荷なし+薬物無処置)を作製して同じ手順で急性拘束ストレス実験を行う。各種の受容体遮断薬および酵素阻害薬をそれぞれ投与することで、PVNにおいて、ストレス負荷で誘導される応答メディエーター因子の発現に及ぼす影響を分析する。
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Causes of Carryover |
令和2年度中は、研究責任者が体調不良による休職のため、研究進捗が予定より遅れた。そのため、使用する予定であった動物および試薬など消耗品の購入予算が残り、次年度に繰越するようになった。 次年度中に復職により研究を再開し、申請時の計画に沿って必要となる動物および消耗品の購入などに使用する予定である。
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Research Products
(1 results)