2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of a fluorescent GABA probe for analysis of pathological mechanism in autism spectrum disorder
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20K22699
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
瀧川 健司 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 主任研究員 (60749274)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | GABA / 蛍光プローブ / 自閉症スペクトラム障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症スペクトラム障害(ASD)の脳内では抑制性シナプスの機能不全が共通した表現型として認められ、ASD症状を引き起こす要因と示唆されている。本研究では、「ASD病態における抑制性シナプスの機能不全はシナプス前部の機能変容に基づく」との仮説をGABA蛍光プローブのシナプス機能解析によって実証することで、ASDの病態メカニズムを明らかにすることを目的とする。初年度は脳内の抑制性シナプスから放出されるGABAの時空間動態を高精細に可視化するためのGABA蛍光プローブの開発に取り組んだ。本研究課題で開発する蛍光プローブは、これまでに研究代表者らがグルタミン酸やATPといった脳内伝達物質の高精細な可視化を実現した実績のあるハイブリッド型プローブであり、リガンド結合タンパク質と低分子蛍光色素の複合体で構成される。リガンド結合タンパク質には、先行研究からGABAに結合することが報告されている細菌由来のタンパク質を採用した。また、蛍光色素には、外界の環境に応じて蛍光のON/OFFが切り替わる環境感受性蛍光色素を採用した。当該タンパク質にシステイン点変異を導入した組換えタンパク質を大腸菌発現系にて取得し、チオール基と特異的に反応する環境感受性蛍光色素を結合させ蛍光複合体を作製した。その結果、GABAに対する解離定数が約100 μMで、300%以上の大きな蛍光強度変化を示す蛍光プローブの取得に成功した。次に、蛍光プローブのリガンド選択性を評価するために、GABAと類似した構造を有する脳内伝達物質であるグルタミン酸や、その他2種類のアミノ酸に対する応答性を調べた。その結果、各リガンドが1 mMという高濃度下においても蛍光プローブの蛍光強度はほとんど変化しないことがわかった。以上の結果から、本蛍光プローブはGABAに高い選択性を示すことが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画していたGABA蛍光プローブの開発を順調に進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
開発したGABA蛍光プローブを用いて神経細胞のシナプス前部から開口放出されるGABAを計測することで、ASD病態において抑制性シナプス前部のGABA放出機能にどのような変化が生じているのかを調べる。また、超解像顕微鏡を用いてシナプス前部の分子をシナプス単位で高精細に可視化することで、抑制性シナプス前部の分子の発現パターンにどのような変化が生じているのかを調べる。
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Causes of Carryover |
蛍光プローブを開発するために購入を予定していた一部の蛍光色素やその他消耗品については、購入前に有望なGABA蛍光プローブの取得に成功し、購入を見送ったため。
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Research Products
(4 results)