2020 Fiscal Year Research-status Report
The elucidation of the causal relationship between fetal accumulation of ritodrine and the development of neonatal hypoglycemia
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20K22703
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
藤田 有美 金沢大学, 附属病院, 特任助教 (50876026)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | リトドリン / 新生児低血糖症 / トキシコキネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
新生児低血糖症は、不可逆的な中枢神経障害をきたすうえ、発症が見落とされがちであるため早期発見・治療介入が重要である。切迫早産治療で用いられるリトドリンは、重大な副作用に新生児低血糖症があるが、リスク因子や発症機序は未知である。申請者らは、後方視的観察研究によって、リトドリン静脈内投与終了から分娩までの時間が短いことと、母体年齢が高齢であることが新生児低血糖症のリスク因子であることを明らかにしてきた。本研究では、リトドリンの胎盤透過性・胎児蓄積性と新生児低血糖症の因果関係を明らかにするため、臨床に即した動物モデルを用いリトドリンの胎盤透過性と関連する輸送体を同定する。 今年度は、まずリトドリン投与による新生児低血糖症モデルラットを作成するため、13週齢に妊娠18日目となる妊娠ラットに浸透圧ポンプを用いて複数濃度のリトドリンを72時間持続皮下投与し、妊娠21日目に帝王切開にて胎児を取り出し、帝王切開直後の新生児インスリン濃度と蘇生後6 時間までの血糖値推移、帝王切開直後及び蘇生6時間後の新生児肝臓グリコーゲン量を測定した。その結果、最も高濃度のリトドリンを持続投与した群において、帝王切開直後の新生児インスリン濃度の上昇と蘇生6時間後の新生児肝臓グリコーゲン量の低下が生じた。リトドリン濃度依存的な新生児の血糖値低下は観察されなかったが、濃度依存的に新生児低血糖症状持続時間の延長が観察された。もっとも新生児低血糖症状が持続したリトドリン投与ラットを新生児低血糖症モデルラットとした。 さらに、母獣年齢によるリトドリンの胎盤透過性の比較検討を行うため、若年及び老年新生児低血糖症モデルラットでの胎児血糖値の比較及び胎児リトドリン濃度測定用サンプルの採取を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
麻酔や外科的要因で妊娠ラットの血糖値が変動してしまうため、それらの要因を受けにくいモデルラット作成に苦労した。
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Strategy for Future Research Activity |
若年及び老年妊娠ラットでの胎児/母体血中リトドリン濃度比を算出し、週齢によるリトドリンの胎盤透過性を比較するとともに、胎盤をマイクロアレイに出し、発現する遺伝子を解析する。すでに胎児/母体血中リトドリン濃度比解析用血漿サンプル及びマイクロアレイ用の胎盤サンプルは採取済みであり、同時に解析することで研究計画の遅れは取り戻す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大のため学会が中止となり、旅費の執行が減額となった。残金は、次年度に繰越した。
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