2021 Fiscal Year Annual Research Report
既存の小胞体ストレス応答を介さない新規パーキンソン病制御機構・創薬標的の解明
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20K22716
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
野田 泰裕 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 助教 (90880336)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / 小胞体ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病(PD)は脳黒質ドパミン作動性神経の変性・脱落を主徴とする進行性の神経変性疾患である。PDの発症・進行には異常な高次構造をとった不良タンパク質の蓄積により惹起される小胞体ストレスが関与していることが示唆されている。 しかし、小胞体ストレス制御によるPDの治療方法は確立されておらず、申請者はこの治療法確立を目指して検討を実施した。 神経芽細胞腫SHSY5YにPD様の毒性を示すMPP+ (1-methyl-4-phenylpyridinium) を適用し、薬物誘発のin vitro PDモデルを作製した。本モデルをにおいて、小胞体ストレスを修飾する各種薬剤を使用し、PD病態において保護作用を有する化合物を探索した。 小胞体ストレスセンサータンパク質の一つであるPERK(PKR-like endoplasmic reticulum kinase)阻害剤のGSK2606414はin vitro PDモデル細胞の細胞死を強く抑制した。一方、アポトーシス誘導剤のスタウロスポリン、小胞体ストレス誘導剤のツニカマイシン、タプシガルギン誘発の細胞死に対してGSK2606414は保護作用を示さず、PD病態特異的に保護作用を示す可能性が示唆された。また、薬物誘発in vitro PDモデルにおけるPERK活性化及びそれに対するGSK2606414の作用をウェスタンブロット法で解析した。その結果、薬物誘発in vitro PDモデルにおいてはGSK2606414の標的となるPERKの活性化が見られず、GSK2606414はPERK経路非依存的にPD病態を改善することが示唆された。以上の結果より、GSK2606414はPD病態に対する新たな治療薬候補となる可能性がある。
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