2021 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌の休眠遺伝子を覚醒するハイグロマイシンBを利用した新規天然活性物質の探索
Project/Area Number |
20K22720
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
加藤 翔 北里大学, 大村智記念研究所, 特任助教 (70875757)
|
Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
|
Keywords | 二次代謝産物 / 糸状菌 / 天然物 / 低分子有機化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
糸状菌は農薬や医薬の元となる低分子有機化合物である二次代謝産物を生産することが知られている。しかし、糸状菌ゲノム中にコードされている二次代謝産物生産に関わる遺伝子の多くは休眠状態であることが明らかとなってきた。そのため、二次代謝産物を生産誘導させる新たな手法が求められている。先行研究においてタンパク質合成阻害剤Hygromycin BはFusarium属菌に対して遺伝子発現レベルでFusarubin、Hymeglusin、Hymeglusin類縁体などの生産を誘導することが報告されている。そこで本研究ではHygromycin B添加培地で様々な糸状菌を培養することで二次代謝産物の生産を誘導し新規化合物を発見することを目的とした。Hygromycin Bの効果を調べるために様々な分離源から分離した糸状菌40株(FKI-10213~FKI-10252)に対しHygromycin Bを10 ug/mL添加したF8培地と無添加のF8培地で培養を行った。その結果、培養液性状の変化が認められた株が27株あり、これを1次スクリーニングとした。次にLC/UV-MS分析や形態観察により代謝物の変化が観察できたもの、さらに天然化合物データベースを用いてピークの物性を検索し化合物報告の少ない株が4株あり、これを2次スクリーニングとした。さらにこの4株に対して再度LC/UV-MS分析を行い、再現がよく生育したPhialemoniopsis pluriloculosa FKI-10220株を対象とした。FKI-10220から新規テルペン系ポリケチド化合物と新規Gabusectin類縁体を取得した。このようにしてハイグロマイシンBのMIC以下の濃度での添加培養は新規化合物探索のツールとなりうることを示した。
|