2020 Fiscal Year Research-status Report
SDGsに対応した環境調和型アミン検出試薬の開発とペプチド合成への応用
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20K22721
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
梅野 智大 昭和薬科大学, 薬学部, 特任助教 (40879524)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | アミン検出試薬 / ペプチド固相合成 / ドナー・アクセプター |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、アミン検出試薬として利用可能な化合物の情報を得るため、幅広いpKaを有する様々な塩酸塩型のpush-pull型π共役分子を合成し、アミン検出試薬として機能可能であるかを調査した。合成は市販のm-フェニレンジアミンとヘキサフルオロアセチルアセトンから1工程・高収率で合成可能なアミノキノリン誘導体TFMAQを基本骨格として、そのアミノ基を様々に誘導体化することで達成した。合成した塩酸塩型呈色分子のメタノール中での安定性を調査したところ、塩酸塩型呈色分子のpKaが5.5より小さい塩酸塩型分子では、塩酸塩がメタノール溶液中で解離して着色し、一方でpKaが8.7より大きい場合にはメタノールによって呈色分子がプロトン化されることが明らかとなった。以上の結果より、現時点で、pKaが6.5と7.1の分子がアミン検出試薬として利用可能であることが明らかとなった。続いて、このpKa 6.5の化合物を用いて定量的なアミン検出を調査した結果、1級のn-プロピルアミン、2級のピペリジン、3級のトリエチルアミン全てにおいて同一の検量線が得られ、アミンの種類に依存しない定量性を有した新たなアミン検出法の開発に成功した。このアミンの種類に依存しない検出が可能であるという特徴は、様々なアミノ酸を用いるペプチド固相合成において重要な特徴である。なお、用いたアミン検出試薬は分液操作と精製を行うことで再利用可能であることも確認し、SDGsに対応したアミン検出法であることが確認された。さらに、ペプチド固相合成における樹脂上アミンの検出の調査も行っており、樹脂上にアミノ基が存在する場合に呈色反応を示すことが確認されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に従った研究を行い、期待した成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
ペプチド固相合成への適用を推進する。樹脂上アミンは高分子効果により、溶液中のアミンと異なる挙動を示すことが明らかになりつつある。そこで、樹脂上アミンの検出に適したプロトコルの確立を目指す。
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Causes of Carryover |
本年度は新型コロナ感染症の感染拡大の影響により、学会参加のための旅費の支出がなく、当初の計画から差額が生じた。また、本年度計画していた化合物探索が当初の計画より順調に進み、化合物合成のために計画していた予算から差額が生じた。次年度はペプチド関連の研究を主に遂行するため、個別のアミノ酸などの試薬や消耗品の購入に多くの予算を計画している。
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Research Products
(10 results)