2021 Fiscal Year Annual Research Report
ボツリヌス神経毒素を用いた神経細胞特異的な薬物送達システムの開発
Project/Area Number |
20K22722
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
宮下 慎一郎 東京農業大学, 生物産業学部, 助教 (20883292)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | ボツリヌス神経毒素 / DDS / α-シヌクレイン / ペプチド製剤 / VHH |
Outline of Annual Research Achievements |
ボツリヌス神経毒素(BoNT)は非常に高い特異性で神経細胞に結合する。BoNTは細胞質において神経伝達物質の放出に必須なタンパク質を分解することで神経麻痺を引き起こす。申請者は、VHH抗体を無毒化BoNTに連結し、神経細胞内に送達するシステムを開発した。本研究では、凝集性病原タンパク質に結合するペプチド製剤の細胞内輸送効果について調べるとともに、新たな無毒化BoNTキャリアーの創出を試みた。 ヒト神経芽細胞腫由来SH-SY5Y細胞にα-シヌクレイン発現プラスミドベクターをトランスフェクションし、繊維化α-シヌクレインタンパク質を添加することにより、培養細胞におけるα-シヌクレイン凝集形成モデルを確立した。α-シヌクレインの凝集抑制効果を有するペプチドを無毒化BoNTに連結し、大腸菌を用いた組換えタンパク質として精製した。α-シヌクレインの凝集を引き起こしたSH-SY5Y細胞へのペプチド-無毒化BoNT添加は、凝集体形成を抑制せず、その分解も促進されなかった。今後はタンパク質分解を促進するデグロンなどのシグナル配列をペプチド-無毒化BoNTに付与し、その効果を検証する予定である。 本システムのキャリアーである無毒化 BoNT はX型BoNT (BoNT/X) および A型BoNT (BoNT/A) のキメラである(BoNT/XA)。BoNT/A は神経細胞のSV2タンパク質、BoNT/B はシナプトタグミンに結合するため、新たな無毒化BoNT/XBを組換えタンパク質として発現および精製を行った。当初、無毒化BoNT/XBの発現量が少なく不安定なタンパク質であったが、GSリンカーを挿入することで安定な無毒化BoNT/XBを得ることに成功した。さらに、無毒化BoNT/XBの神経細胞内へのVHH抗体送達効果は無毒化BoNT/XAと比較して同程度であった。
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