2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of a degrader for SARS-CoV-2 3CL protease
Project/Area Number |
20K22723
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
今野 翔 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (70882190)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 3CLプロテアーゼ / SARS-CoV-2 / プロテアーゼ阻害剤 / プロテインノックダウン / COVID-19 / PROTAC |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス感染症の原因ウイルスであるSARS-CoV-2の3CLプロテアーゼは、ウイルスの増殖に必須の酵素であることから、有望な創薬ターゲットである。独自開発した3CLプロテアーゼ阻害剤YH-53は、強力な抗SARS-CoV-2活性を示すが、より強力な抗ウイルス活性を示す化合物の創製は必要不可欠である。本研究では、YH-53とE3リガーゼのリガンドを結合したキメラ分子の設計・合成を行い、3CLプロテアーゼのタンパク質分解を誘導可能か検証し、ウイルス由来タンパク質を標的としたプロテインノックダウン法の確立をめざす。 まず、キメラ分子の設計に着手した。YH-53とSARS-CoV-2 3CLプロテアーゼの共結晶構造から両者の結合に影響を与えない部位を同定し、リンカー導入部位を決定した。YH-53とE3リガンドの結合は、効率化を図るためアジドとアルキンによる環化付加反応(CuAAC)を利用することにし、YH-53のインドールにアルキンを導入した化合物を合成した。組換え3CLプロテアーゼを異種発現し、3CLプロテアーゼ阻害活性を測定したところ、アルキンを導入した化合物はYH-53と同等の阻害活性を示すことが明らかになった。続いて、アジドを有し、長さ及び性質の異なるリンカーを導入したE3リガンドを種々設計・合成し、CuAACを用いてキメラ分子の合成を行った。これらのキメラ分子について、3CLプロテアーゼ阻害活性を評価したところ、阻害活性の大幅な低下は観察されず、阻害活性を維持したキメラ分子の取得に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共結晶構造を取得できたことからリンカー導入部位の予想が容易になり、3CLプロテアーゼ阻害活性を維持したYH-53のアルキン誘導体を早い段階で見出すことに成功した。また、YH-53とE3リガンドの結合にCuAACを利用したことで、効率的にキメラ分子を合成することができた。現段階で当初予定していた化合物の合成は全て完了したので、おおむね計画通りに進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、3CLプロテアーゼを組み込んだ動物細胞用の発現プラスミドを作製し、3CLプロテアーゼのタンパク質分解誘導に向けた細胞評価系の構築を行う。化合物処理による3CLプロテアーゼの消失はウエスタンブロット及び免疫染色にて評価する。3CLプロテアーゼの分解を誘導した化合物については抗ウイルス活性を評価し、本研究戦略の有用性を検証していく。
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Causes of Carryover |
当該年度は合成を中心に行っており、生化学系試薬の購入が当初予定より少なかった。また、学会がオンラインになったことから、旅費がなかった。次年度は生化学実験を中心に行うため、それらの試薬・消耗品及び機器の購入に充てる。
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