2020 Fiscal Year Research-status Report
高感度イメージングを目指した新規生物発光基質の創製
Project/Area Number |
20K22724
|
Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
森屋 亮平 (齊藤亮平) 東京薬科大学, 薬学部, 嘱託助教 (20870801)
|
Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
|
Keywords | 生物有機化学 / 生物発光 / ホタル / ルシフェリンアナログ / 近赤外発光 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでホタル生物発光反応は波長変換に着目した研究が盛んにおこなわれており、バイオイメージング分野で応用されている。天然の発光基質ホタルルシフェリンを有機合成により構造改変を行うことで、黄緑色から近赤外に発光波長を変えることができる。この近赤外発光基質を用いることで高感度なイメージングを実現している。一方で、発光強度を向上させるような発光基質の報告例はなく、また、発光基質の部分構造をどのように改変することで発光強度が向上するのかも未だに解明されていない。本研究では、ホタル生物発光反応の発光強度の向上を目指した新規発光基質の開発に取り組んでいる。また、これら新規化合物の部分構造と発光強度に関する構造活性相関の取得も目指している。 現在までに、5種類の新規化合物の開発に成功した。これらの化合物は先行研究にはなかった基本構造を有している。これら5種のうち2種は、先行研究で実用化されている近赤外発光基質よりも発光強度が2ー3倍向上した。また、発光波長も赤色もしくは近赤外であり、天然のホタルルシフェリンよりも長波長であった。しかしながら、天然のホタルルシフェリンの発光強度に比べると暗かった。 また、全く別のアプローチで発光強度の向上にも試みている。このアプローチだと、先行研究も少ないため、中間体の合成に苦戦していた。しかしながら、部分構造の合成方法は確立できたので、残りの部分構造についての条件検討を現在進行中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究の化合物よりも発光強度が向上した新規化合物の開発には成功したものの、この新規化合物は天然の発光基質の発光強度には劣っている。当初の計画のように、発光強度を増大させることには成功したが、天然の発光基質の発光強度を目指して改良していく余地がある。そこで、現在は新たな化合物デザインのもと、合成の条件検討に取り組んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
合成した化合物の発光活性の評価を元に、発光強度に関する重要な部分構造などを見出すような解析にも取り組んでいく予定である。また、これらの研究成果を特許出願も検討しながら、論文や学会で発表できるように進めていく。
|
Causes of Carryover |
緊急事態宣言により1ヶ月程度実験を停止せざるを得なくなり、物品消費が予定よりも少なくなった。また、学会などがオンラインあるいは延期となり、旅費として計上していた分を次年度に繰り越すことにした。
|
Research Products
(2 results)