2020 Fiscal Year Research-status Report
ユビキチン鎖高次構造を形成する細胞内メカニズムの解明
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20K22726
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
相馬 愛 (海保愛) 星薬科大学, 先端生命科学研究所, 特任助教 (60420684)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | ユビキチン / タンパク質分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
ユビキチン・プロテアソーム系は選択的なタンパク質分解により多彩な生命現象を制御し、細胞内タンパク質恒常性に必須の役割を果たしている。ユビキチンは異なる連結様式や分岐により様々な高次構造のポリユビキチン鎖を形成することで多様な経路を制御する。基質の分解は、ユビキチンリガーゼによる特異的な基質認識のみならず、分解誘導に適した高次構造のポリユビキチン鎖=ユビキチンコードを形成する過程によって厳密に制御される。しかし、ポリユビキチン鎖高次構造の形成機構は十分に解明されていない。本研究ではユビキチン鎖伸長因子の細胞内動態およびユビキチン鎖形成、基質分解への寄与を解明する。今年度はユビキチン鎖伸長因子によって制御される基質群の解明のため、ユビキチン鎖伸長因子の欠失細胞を用いて、比較定量解析を行った。その結果、ユビキチン鎖伸長因子の欠失細胞で有意に蓄積するタンパク質群を見出した。シクロヘキシミド添加群でのタンパク質量変動を同時に比較することにより、細胞内代謝(turnover)が速くなおかつユビキチン鎖伸長因子欠失により蓄積する因子群を抽出した。これらの同定因子群をウェスタンブロッティングで確認することにより、ユビキチン鎖伸長因子によって分解制御される基質タンパク質を見出した。そこで今後は、ユビキチン鎖伸長因子の細胞内挙動を明らかにするとともに、今回見出した基質タンパク質をモデルとして、細胞内挙動を変化させる変異導入によって基質分解がどのように影響を受けるかを検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ユビキチン鎖伸長因子の欠失細胞を用いた大規模な比較定量解析により、ユビキチン鎖伸長因子によって分解制御される基質タンパク質の同定に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
ユビキチン鎖伸長因子の細胞内挙動を明らかにするとともに、今回見出した基質タンパク質をモデルとして、細胞内挙動を変化させる変異導入によって基質分解がどのように影響を受けるかを検討する。
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Causes of Carryover |
ユビキチン鎖伸長因子の基質特異性についてはこれまでほとんどわかっておらず、基質同定のためには多数の候補因子の抗体を検討する必要があると想定していたが、高感度の比較定量解析が可能となったことや、タンパク質の細胞内代謝速度を対照とすることで候補因子の絞り込みに成功した。そこで今後はユビキチン鎖伸長因子のさらなる相互作用因子群の解析に研究費を充てる。
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