2020 Fiscal Year Research-status Report
化学遺伝学的手法を応用したオキシトシンと摂食の概日リズム・食嗜好性連関の解明
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20K22749
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
園田 里美 産業医科大学, 医学部, 助教 (30644009)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | オキシトシン |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満の是正のために摂食行動を制御することは肥満症の重要な治療ターゲットの1つである。オキシトシンはこれまで摂食抑制に作用する視床下部の神経ペプチドの1つであることが報告されている。そこで、化学遺伝学的手法を応用して、内因性のオキシトシンニューロン活性を変化させることで、オキシトシン分泌のサーカディアンリズムと摂食行動の変化、および他の摂食関連ペプチドとの連関について明らかにすることを目的として研究を進めている。 内因性オキシトシンニューロンを活性化させる手法として、化学遺伝学的手法を応用し、薬物興奮性レセプター(hM3Dq)遺伝子を挿入した融合遺伝子を用いて、OXT-hM3Dq-mCherryトランスジェニックラットを作出した。オキシトシンニューロン特異的にGPCRであるhM3Dqを発現させ、特異的なリガンドであるClozapine-N-Oxide(CNO)の投与により、標的としているオキシトシンニューロンを選択的に興奮させることができる。 そこで、OXT-hM3Dq-mCherryトランスジェニックラットに対して、生理食塩水もしくはCNO投与を1週間連日投与し、摂食量や飲水量を測定し、内因性のオキシトシンニューロンを活性化させた際の摂食行動の変化を評価した。結果として、摂食量や飲水量に変化は認められなかった。また。オキシトシンのサーカディアンリズムが変化したことによるラットの活動量の変化を評価するため、OXT-hM3Dq-mCherryトランスジェニックラットにNano Tag@を留置し、生理食塩水もしくはCNO投与を行った。結果として、活動量および深部体温に変化は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
仮説と異なる実験結果に対して複数回の確認実験を行ったため時間を要した。またコロナウイルス感染拡大によって実験活動を制限せざるを得ない状況も重なった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、内因性のオキシトシンニューロン活性化後の食嗜好性の変化について評価を行う。OXT-hM3Dq-mCherryトランスジェニックラットに対して、ショ糖嗜好性試験や高脂肪食・高炭水化物食・高タンパク食の飼料を準備して食嗜好性試験を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度に実施予定の実験が実施できず、次年度に実施予定であり、これらの実験に費用を使用させていただきたくため次年度使用額が生じた。 物品費として、実験動物(ラット)の購入費用、トランスジェニックラットのジェノタイピングによるスクリーニングに必要なPCR用試薬、灌流固定および麻酔に必要な薬品、免疫組織化学的染色法に必要な一次抗体および二次蛍光抗体の購入費用、本実験に必要な特殊飼料の購入費用in situハイブリダイゼーション法に必要なRIの購入費用、実験に必要なチューブやチップなどの実験用の消耗品の購入費用に使用予定である。旅費および人件費・謝金として、本研究課題を遂行するための情報取集や研究成果発表等のための国内および外国で開催される関連学会への参加旅費、成果を国際専門紙に英文で発表するための外国語論文校閲謝金に使用予定である。その他として、本実験において検体のホルモンの血中濃度を測定するために必要な検査料、in situハイブリダイゼーション法の際に必要な現像や焼付費を現像・焼付、実験動物(ラット)の飼育費、ポスター印刷など研究成果の発表に必要な資料の作成費用、論文掲載時の別冊印刷代に使用予定である。
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