2020 Fiscal Year Research-status Report
Antitumor immunity mediated by HLA-E in hepatocellular carcinoma
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20K22760
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中河 秀俊 金沢大学, 附属病院, 特任助教 (90743469)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 免疫 / 非古典的主要組織適応抗原複合体 / 肝がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では実際の肝がん組織にどの程度の頻度・強度でどのタイプのHLA-Eが発現しているかを検証し、臨床病態との関連を検証する。また肝がんに特異的に発現しTCRで認識されるエピトープペプチドを同定し、ペプチドワクチンやTCR遺伝子治療の可能性を模索する。これまで注目されてこなかったHLA-Eに着目し、NKG2Aを介したがん免疫抑制からTCRを介した抗腫瘍効果へのコンバージョンを試みる。特筆すべき点としてHLA-Eは他のHLAとは異なり多型性に極めて乏しいため、開発した治療がHLAハプロタイプに依存しないユニバーサルワクチン・ユニバーサルTCR遺伝子治療となりうる。 当該年度の実績として、まずHLA-Eハプロタイプの解析を、肝がん手術検体10例、薬物療法症例24例で行った。疾患予後との関連性については現在フォローアップ中である。また既報の集団とのアレル頻度にかなりの乖離が見られたため、今後の課題として非がん肝疾患患者との比較を予定することとした。この改正をさらに進めることによって、肝発癌における HLA-Eハプロタイプの寄与と肝がん治療におけるHLA-Eハプロタイプの寄与が検証できると考えられる。さらに、薬物療法患者24例においてフローサイトメトリーにてHLA-E、NKG2A発現を解析した。 また、基礎的技術として、シングルセルRNAseqとTCRseqを同時に解析する手法を確立した。今後、HLA-E免疫にも本技術を応用し、解析を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響で、実験施設の使用等の制限や物品入手における問題点が一時存在したが、現時点でこれらは解決されており現時点で実験は支障なく遂行可能である。ただし当初当該年度に予定していたペプチドーム解析を次年度へ延期することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で計画されている以下の実験を遂行する。既存の肝がん細胞株(HepG2)と私たちが新規に樹立してきた肝癌患者由来xenograft細胞株の解析を行う。細胞株をIn vitroでIFN-γ刺激後、細胞ライセートを作成する。HLA-E抗体(clone 3D11)をクロスリンクさせたプロテインAアフィニティカラムによりHLA-Eに結合するペプチドを抽出する。これを限外濾過しLC-MS/MSにて解析し、ペプチドームデータを得る。ペプチドームデータから腫瘍関連抗原由来、あるいはネオアンチゲン由来のエピトープを同定する。肝がん患者由来の末梢血リンパ球を同定したエピトープペプチドでin vitro刺激し、IFN-γの分泌をELISPOTアッセイにて判定し抗原性を確認する。また、IFN-γ陽性T細胞からT細胞受容体遺伝子をシングルセルレベルで取得し、レトロウイルスベクターに組込み、遺伝子改変HLA-E拘束性肝がん細胞特異的T細胞を作成する。このT細胞はin vitro あるいはin vivo試験を通し細胞傷害活性と抗腫瘍効果を確認する。これらの検証を通し、肝がんへの治療応用可能なワクチン用ペプチドとT細胞受容体遺伝子を選択する
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Causes of Carryover |
当該年度で予定していたぺプチドーム解析を次年度へ延期したためその分の物品費等を次年度使用額として計上した。
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