2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K22763
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高田 和城 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (20573223)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 重症筋無力症 / B細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
血中の神経筋接合部の自己反応性抗体により全身の脱力をきたす重症筋無力症患者において、自己抗体による病態は以前から知られていたが、その抗体を産生する病原性B細胞についてはほとんどこれまで明らかになっておらず、従来の治療法は広範囲に免疫を抑制するステロイド剤や免疫抑制剤、非常に高額な抗体による補体の作用をターゲットとした治療法のみであり新しい治療法が望まれている。また重症筋無力症患者の内、抗アセチルコリン受容体抗体を有する重症筋無力症患者では病原性B細胞の分化・成熟が胸腺腫中で行われていることが示唆されている。本研究では抗アセチルコリン受容体抗体陽性重症筋無力症患者由来の胸腺腫の検体を用いて、病原性抗体を産生するB細胞の分離・解析が目的である。病原性B細胞を分離するためのマーカーの検索のため、重症筋無力症患者における胸腺腫細胞のsingle cell sortingを行い、重症筋無力症患者由来胸腺腫に特徴的な分子の検索を行っている。手術検体の胸腺腫から表面抗原の染色を行い、FACSによるsingle cell sorting、single cell RNA sequenceによる発現分子の解析を行う実験系の立ち上げは出来ており、既にpilot studyを3回行い、十分な数の細胞を得ることができた。今後のサンプルと併せて病原性B細胞特異的に発現している分子の発現プロファイルの解析を行っていく方針であり、病原特異的B細胞の性質が明らかになれば新しい治療法にもつながることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近年のコロナウイルス感染症の影響のため実験試薬の配送の遅れや、検体採取の場となる手術予定の遅延などがあったが、必要なデータセットを取得した。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の実験系の確立はできているため、必要に応じて合計5例程度のpilot studyを行い従来の胸腺腫の発現パターンと比較し重症筋無力症患者由来B細胞に特異的に発現している分子の検索を行う。発現分子の内、表面蛋白があればそれをターゲットとした細胞のsortingを行い、アセチルコリン受容体反応性B細胞がその細胞群に含まれているかの確認を行う。確認がされればsingle cell sortingの上、レパトア解析、トランスフェクションによる抗体の強制発現により抗体を作成し、実際のアセチルコリン受容体との反応性の有無を確認していく。 また上記解析により表面蛋白を認めなかった場合、あるいは標的分子の絞り込みができなかった場合は蛍光標識をおこなった抗原タンパク(アセチルコリン受容体αサブユニット)を用いて同様の解析を行っていく。 これらの方法により胸腺腫中の抗アセチルコリン受容体抗体産生B細胞の分離が可能となった場合には、胸腺腫手術と同時に採取している末梢血単球細胞のB細胞と併せて解析を行い、胸腺と末梢血における病原性B細胞の分化・成熟をレパトア解析・分子の発現プロファイルの解析を行うことによって明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
概ね計画どうり予算内で申請額を使用しており、残高は少額である。引き続き次年度計画どうり使用予定である。
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