2020 Fiscal Year Research-status Report
記憶ヘルパーT細胞の長寿命の獲得と維持における分子機構の解明
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20K22764
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
常世田 好司 鳥取大学, 医学部, 教授 (20362402)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 免疫記憶 / ヘルパーT細胞 / 骨髄 |
Outline of Annual Research Achievements |
記憶ヘルパーT細胞がどのように長寿命を獲得するのかという疑問を解明するために、初めに免疫応答時に分化した記憶前駆細胞が高く発現している分子に着目した。1つ目は、脾臓から末梢血へ移動するために必要であるS1Pファミリーであり、記憶前駆細胞に発現が高い。しかし、各阻害剤で試みた結果、有意な差が見られず、長寿命の形成には関わっていないことが示唆された。次に、過度な細胞分裂により発現が低くなるCCR7に注目した。CCR7のリガンド、CCL21に対する抗体を投与すると、多くの記憶前駆細胞は脾臓から流れ出し、末梢血や骨髄へ移行した。このことから、過度な細胞分裂は、CCR7の発現を減少させ、二次リンパ器官から外に移動させるという点で、長寿命に必須であることが示唆された。 記憶ヘルパーT細胞がどのように長寿命を維持しているのかという疑問を解析するためには、接着分子からのシグナルと解糖系に依存する代謝経路を中心に解析した。特にサイトカインや接着分子からの刺激により、糖代謝と脂質代謝を分化段階によって切り替えていることも明らかになっており、興味深い結果が得られている。最近、IL-2阻害抗体により、記憶細胞が減少することを発見した。IL-2を介した維持メカニズムも同時に解析中である。 研究計画はおおむね申請書通りであり、むしろ新たな発見が加わり、大きな発展が見込めるところである。2021年度で詳細なところを明らかにしていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予定した以上に良い結果が複数生まれている。2021年度に詳細のメカニズムを明らかにすることで、計画が完全に遂行できる。
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Strategy for Future Research Activity |
すべて申請書通りに研究が進んでいる。計画Bの維持メカニズムの解明もIL-2の関与から大きな発展が見込まれる。
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