2023 Fiscal Year Annual Research Report
DGKが制御するマラリア原虫赤血球侵入メカニズムの解明
Project/Area Number |
20K22782
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
石崎 隆弘 酪農学園大学, 獣医学群, 講師 (40880810)
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Project Period (FY) |
2023-02-26 – 2024-03-31
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Keywords | ネズミマラリア原虫 / 赤血球侵入 / 脂質シグナリング / 遺伝子編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
マラリア原虫は赤血球寄生原虫であり、宿主赤血球へと侵入する際に細胞内シグナル伝達を介して原虫タンパク質の分泌を制御する。ネズミマラリア原虫(Plasmodium yoelii)が保有するジアシルグリセロール(DAG)をホスファチジン酸(PA)へと転換させるジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)の一つであるDGK1欠損マラリア原虫は赤血球侵入関連分子の細胞内局在の変化、分子分泌の低下、その結果に伴う原虫寄生率とマウスへの病原性の低下という表現型を示した。ネズミマラリア原虫は二つのDGKを有しており、その二つが相補的な機能を有しているかを検討するためにDGK1/DGK3二重欠損原虫を作製した。DGK1欠損原虫とDGK1/DGK3二重欠損原虫間における赤血球侵入効率には変化が無かったため、DGK1のみがマラリア原虫の赤血球侵入に必要な酵素であり、赤血球侵入過程において二つのDGK間に相補的作用は無いという結論に至った。 またDGK1によって転換されるPAはPHドメインを有するタンパク質と結合することが知られており、原虫が保有するPHドメイン保有タンパク質の誘導型欠損株の作出と解析を並行して実施した。その結果PHドメインを有する分子の一つであるAPHを誘導型欠損した原虫でDGK1欠損原虫同様に赤血球侵入関連分子の表面分泌が阻害される知見を得た。その一方でAPH欠損原虫では赤血球侵入関連分子の細胞内局在の変化は見られなかった。以上の結果からDGK1によって転換されるPAとAPHの相互作用が赤血球侵入関連分子の分泌には必須だが、それら分子の細胞内局在はDGK1由来のPAのみが関与する可能性が示唆された。
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