2020 Fiscal Year Research-status Report
Research on role of intestinal flora and mucosal immune response in enterohemorrhagic Escherichia coli infection
Project/Area Number |
20K22792
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Research Institution | Gihu University of Medical Science |
Principal Investigator |
所 俊志 岐阜医療科学大学, 薬学部, 講師 (10551088)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 腸管出血性大腸菌O157:H7 / 腸内細菌叢 / 腸管感染 / 感染制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年4月に岐阜医療科学大学薬学部新設に伴い,新規に建築・設備された動物実験施設の感染動物実験エリアにおいて,腸管出血性大腸菌(EHEC)O157:H7経口感染マウス実験を開始した。 計画実施において,第一に,EHEC腸管定着のマウス系統差について,新規実験環境での再現性を確認した。種々の系統(ICR,C3H/HeN,C3H/HeJ,C57BL/6及びBALB/c)のSPFマウスについてEHEC腸管定着を比較した。接種24時間後,糞便中にEHECを検出した個体数並びに糞便中のEHEC量について,ICR及びC3H/HeNは,それぞれ最高値及び最低値を示し,感染に対して感受性及び抵抗性の系統であることを確認した。 経時的に採取した糞便をソルビトール・マッコンキー寒天培地に塗抹し,出現した赤コロニー及び(病原大腸菌O157血清非凝集の)白コロニーを定量した。接種4日後,ICR及びC3H/HeNは,それぞれ赤コロニー及び白コロニーの一時的な増加がみられた。接種により一時的に腸内細菌叢の組成が変化すること,腸内細菌叢の特定の組成が腸管感染制御に関与することが示唆された。 実験1及び2の実施において,抗菌剤投与による腸内細菌叢の組成・多様性の改変及び腸内無菌化は重要な実験工程である。そこで,異なる抗菌スペクトルの4種の抗菌剤(アンピシリン,バンコマイシン,ネオマイシン及びメトロニダゾール)の混合投与によるマウス腸内無菌化を検討した。抗菌剤含有水の自由飲水に対するマウスの飲水抵抗性の改善策として甘味料(スクラロース)を給水に添加した。しかし,飲水量は通常水に比較して抗菌剤含有水では3分の1程度に減少した。食餌量についても抗菌剤含有水を与えたマウスでは3分の1程度に減少し,体重は減少した。スクラロースの添加は飲水抵抗性の改善にはならなかった。抗菌剤の投与方法の検討が必要とされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
感染動物実験の実施が遅延したことによる。遅延の理由を以下に挙げる。 ・令和2年4月に岐阜医療科学大学薬学部新設に伴い,新規に建築・設備計画された動物実験施設の稼働開始が遅延した。 ・学内動物実験委員会主催の動物実験教育訓練の開催,受講証明書の取得,動物実験実施許可が,新設薬学部において遅延した。 ・新型コロナウイルス感染拡大により,実験動物,飼育消耗品等の搬入が遅延した。
また,次世代シーケンサIon Protonシステムの不具合,部品交換が必要な事態が発生したために,菌叢組成・多様性解析を実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
動物実験施設の稼働後,感染動物実験エリアの運用において問題は生じていない。実験動物の飼育方法,飼育備品(アイソレーター,安全キャビネット等)・消耗品(餌,床敷,ケージ,給水瓶等),実験的処置(絶飲食,腹腔内注射,EHEC O157:H7接種,糞便採取等)の基準を確立した。この基準を遵守して,実験計画を遂行する。感染動物実験エリアに設置の動物飼育ドラフトは,飼育ケージ1つが入るそれぞれ独立したアイソレートチャンバーから構成されており,同時期に25ケージを飼育可能である。1回の動物実験で設定している群(ケージ)数は8~10であるため, 2つの動物実験を同時期に実施することが可能である。研究実施計画における実験1及び2は連動しており,実験1から2へと進める必要があるが,実験3は独立して実施が可能である。実験1(または2)及び実験3を同時並行で遂行することにより,研究実施計画の促進を図る。 研究の目的1及び2を達成する上で,抗菌剤投与による腸内細菌叢の組成・多様性の改変及び腸内無菌化は,重要な実験工程である。投与方法を自由飲水から1日2回の連日の経口ゾンデによる経胃投与に変更して実施する。 サーモフィッシャーサイエンティフィックのテクニカルサポートとの連携により,次世代シーケンサIon Protonシステムのメンテナンスを継続して,実験実施計画を遂行する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,研究実施計画における必須工程である感染動物実験の実施が遅延したために初年度の実験計画を終えることができなかったためである。遅延の理由として,1)令和2年4月岐阜医療科学大学薬学部新設に伴い,新規に建築・設備された動物実験施設の稼働開始が遅延した,2)学内動物実験委員会主催の動物実験教育訓練の開催,受講証明書の取得,動物実験実施許可が,新設薬学部において遅延した,3)新型コロナウイルス感染拡大により,実験動物,飼育消耗品等の搬入が遅延した,ことが挙げられる。 動物実験施設の稼働後,感染動物実験エリアの運用において問題は生じていない。感染動物実験エリアに設置の動物飼育ドラフトは,飼育ケージ1つが入るそれぞれ独立したアイソレートチャンバーから構成されており,同時期に25ケージを飼育可能である。1回の動物実験で設定している群(ケージ)数は8~10であるため,2つの動物実験を同時期に実施することが可能である。研究実施計画における実験1及び2は連動しており,実験1から2へと進める必要があるが,実験3は独立して実施が可能である。実験1(または2)及び実験3を同時並行で遂行することにより,研究実施計画の促進を図る。
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