2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on role of intestinal flora and mucosal immune response in enterohemorrhagic Escherichia coli infection
Project/Area Number |
20K22792
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Research Institution | Gihu University of Medical Science |
Principal Investigator |
所 俊志 岐阜医療科学大学, 薬学部, 講師 (10551088)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 腸内細菌叢 / 腸管出血性大腸菌 / 菌叢組成 / 多様性 / 頑健性 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸管感染症における腸内細菌叢の役割を検討するために,腸管出血性大腸菌(Enterohemorrhagic Escherichia coli, EHEC)O157:H7に対する感受性の異なることが報告されている,種々の系統(C3H/HeN,C3H/HeJ,C57BL/6,Balb/c及び ICR)マウス(SPF,6週齢,雌性)にEHEC O157:H7を経胃接種した。接種1日後において,糞便にEHECが検出される匹数割合及び糞便中EHEC量は,ICRが最も高く,報告通りEHEC感受性が最も高かった。 次世代シーケンサーIon Protonにより出力された糞便の16S rDNA配列から,統合解析パイプライン(QIIME2)により腸内細菌叢の多様性解析及び細菌の属レペルにおける菌叢組成解析を行った。接種前と比較して接種1日後において,ICRでは多様性が減少した。一方,その他の系統では多様性が維持された。この結果より,相対的に感受性が高いICRでは,腸内へのEHECの侵入において,腸内細菌叢の構造保持力(頑健性)が低いと考えられる。つまり,互いの相対関係を維持することのできる菌叢が,感染に対して抵抗性を示すことが示唆される。 QIIME2に実装されているアルゴリズム(ANCOM)により,群間で占有率に統計的有意差のある菌種を検出した。その結果,ICRの菌叢は,他の系統の菌叢に比較して,ラクノスピラ科の細菌の占有率が高かった。ラクノスピラ科は,ウシの第一胃において最も豊富な細菌科として報告されている。つまり,EHEC保菌動物において優勢細菌科であり,EHECに対する感受性の高い系統マウスの菌叢において高い占有率を示すことから,ラクノスピラ科はEHECの腸管内での定着に関与することが示唆される。 これらの結果は腸内細菌叢に基づく腸管感染予防・治療戦略における根拠を与えると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
岐阜医療科学大学において,各学部で管理されている実験研究機器を,学部間で共用使用するための規則が定まっておらず,2021年度12月までIon Protonを使用することができなかった。そのために,腸内細菌叢のメタ16S解析に基づく菌叢組成・多様性解析が遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
機器管理担当者の監督・指導のもとに,機器の一連の操作を実践したことで,機器の使用許可を得た。Ion Protonから出力される糞便の16S rDNA配列から,QIIME2により腸内細菌叢の菌叢組成・多様性解析を実践した。機器の使用及び解析が可能になったことから,延長申請をして,実験計画を遂行する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,長らく実験研究機器を使用できず,メタ16S解析を実施するための16S rDNA配列の取得が遅延し,実験計画を終えることができなかったことによる。機器が使用できなかった理由として,岐阜医療科学大学において,各学部で管理されている実験研究機器を,学部間で共用使用するための規則が定まっていなかったことによる。 機器の使用及び解析が可能になったことから,延長申請をして,実験計画を遂行する。
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